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2012 年度 実績報告書

モデル生物を用いた生理活性リゾリン脂質機能の包括的研究

計画研究

研究領域生命応答を制御する脂質マシナリー
研究課題/領域番号 22116004
研究機関東北大学

研究代表者

青木 淳賢  東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20250219)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワードリン脂質 / モデル生物 / GPCR / リゾリン脂質
研究実績の概要

リゾホスファチジルセリン(LysoPS)はマスト細胞の脱顆粒促進、T細胞の増殖抑制などの作用を有する生理活性リゾリン脂質である。しかし、生体内のLysoPSの存在を示す知見は少ない。そこで私はマススペクトロメトリーを用いたLysoPSの検出系を確立し、さまざまな生体試料におけるLysoPSの検出を試みた。LysoPSの検出には逆相カラム(ODS)を利用したLC-ESI/MS/MS(トリプル四重極分析計)を用いた。標準品にて検量線を作製したところ定量限界は約10 fmolであった。次にマウスに創傷、コンカナバリンA誘発性肝炎、カゼイン腹膜炎を惹起し、血中および炎症滲出液中のLysoPSを測定した。その結果、炎症刺激により通常時の数倍~数十倍のLysoPSが産生されることを見出した。また、コンカナバリンA誘発性肝炎、カゼイン腹膜炎ではLysoPS産生酵素と想定されているホスファチジルセリン特異的ホスホリパーゼA1(PS-PLA1)の発現が上昇しており、さらにPS-PLA1ノックアウトマウスでは、LysoPS産生が顕著に減少していた。以上の結果から、LysoPSは炎症反応においてPS-PLA1の作用により産生されることがわかった。LysoPSは炎症時において最近当研究室で同定されたLysoPS受容体を介して炎症反応において何らかの機能を持つことが予想される。一方、LysoPSを認識する受容体として2種類のオーファンGPCR(P2Y10, GPR174)を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究では、新規リゾリン脂質メディエーターであるリゾホスファチジルセリンを見出し、その発現を明らかにした。また、LysoPS応答性のGPCRを複数同定し、これら受容体を介したLysoPSの生体内機能の解明に大きな道を開いた。

今後の研究の推進方策

新たに見出した新規LysoPS受容体機能をモデル生物を用いて明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] TGFα shedding assay: an accurate and versatile method for detecting GPCR activation.2012

    • 著者名/発表者名
      Asuka Inoue
    • 雑誌名

      Nat Methods

      巻: 9 ページ: 1021-1029

    • DOI

      10.1038/nmeth.2172

  • [雑誌論文] The β9 loop domain of PA-PLA1α has a crucial role in autosomal recessive woolly hair/hypotrichosis.2012

    • 著者名/発表者名
      Satoru Shinkuma
    • 雑誌名

      J Invest Dermatol.

      巻: 132 ページ: 2093-2095

    • DOI

      10.1038/jid.2012.96

  • [雑誌論文] The sphingosine-1-phosphate transporter Spns2 expressed on endothelial cells regulates lymphocyte trafficking in mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Shigetomo Fukuhara
    • 雑誌名

      J Clin Invest.

      巻: 122 ページ: 1416-1426

    • DOI

      doi: 10.1172/JCI60746

  • [雑誌論文] GPR34 is a receptor for lysophosphatidylserine with a fatty acid at the sn-2 position.2012

    • 著者名/発表者名
      Hajime Kitamura
    • 雑誌名

      J Biochem

      巻: 151 ページ: 511-518

    • DOI

      doi: 10.1093/jb/mvs011

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公開日: 2018-02-02  

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