ホスホリパーゼＡ２分子群により制御される新しい脂質ネットワークの解析

2014 年度 実績報告書

• 研究領域: 生命応答を制御する脂質マシナリー
• 研究課題/領域番号: 22116005
• 研究機関: 公益財団法人東京都医学総合研究所
• 研究代表者: 村上 誠 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野先端研究分野, 参事研究員 (60276607)
• 研究期間 (年度): 2010-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: 酵素 / 脂質 / 生体分子 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 遺伝子改変マウス / リピドミクスピドミクス / 病態

研究実績の概要

(1) sPLA2-VとsPLA2-IIEは肥満の脂肪細胞に発現誘導され、全身の代謝状態を制御するMetabolic sPLA2であること、またsPLA2-VがTh2応答を誘導する唯一のTh2-prone sPLA2であることを論文発表した（Cell Metab 2014）。(2) sPLA2-III（Anaphylactic sPLA2）の新しい機能として、sPLA2-IIIの欠損により肥満や動脈硬化が改善する、大腸癌が改善する、接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎が増悪する等の表現型を見出した。(3) sPLA2-IID（Resolving sPLA2）の免疫抑制作用の普遍性を検証した結果、sPLA2-IID欠損マウスでは接触性皮膚炎（Th1応答）に加えて乾癬（Th17応答）や肥満（脂肪組織の慢性炎症）等が増悪すること、逆に過剰発現マウスでは抑制されることを確かめた。また、欠損マウスでは腫瘍免疫が賦活化されるため、皮膚癌が抑制されることを発見した。(4) sPLA2-Xがω３脂肪酸由来の抗炎症性脂質メディエーターを動員して潰瘍性大腸炎の保護に関わることを見出した。(5) sPLA2-IIF（Epidermal sPLA2）の欠損が乾癬や皮膚癌などの表皮肥厚疾患を改善すること、本酵素の責任脂質代謝産物がplasmalogen-LPEであることを発見し、現在投稿中である。(6) 新規iPLA2であるPNPLA7はリゾホスファチジルコリンをグリセロホスホコリンに代謝するリゾホスホリパーゼであり、欠損マウスは下流のコリン・メチオニン代謝が乱れるため、脂肪肝・脂肪萎縮・早期老化の表現型を示すことを明らかにした。(7) 皮膚特異的な新規iPLA2であるPNPLA1の欠損マウスが魚鱗癬を発症することを見出し、本酵素が皮膚セラミド代謝を制御することを見出した。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Secreted phospholipase A2s and mast cells. (2015)
  • 著者名/発表者名: Murakami, M., and Taketomi, Y.
  • 雑誌名: Allergology Int. 巻: 64 ページ: 4-10
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0109409
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] A new era of secreted phospholipase A2. (2015)
  • 著者名/発表者名: Murakami, M., Sato, H., Miki, Y., Yamamoto, K., and Taketomi, Y.
  • 雑誌名: J. Lipid Res. 巻: 印刷中 ページ: 印刷中
  • DOI: pii: jlr.R058123
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] sPLA2と炎症・免疫 (2015)
  • 著者名/発表者名: 村上誠
  • 雑誌名: 炎症と免疫 巻: 23 ページ: 78-86
• [雑誌論文] リン脂質からオメガ３脂肪酸を動員するホスホリパーゼA2 (2015)
  • 著者名/発表者名: 村上誠
  • 雑誌名: 食品と開発 巻: 50 ページ: 9-11
• [雑誌論文] 接触皮膚炎と抗炎症脂質メディエーター (2015)
  • 著者名/発表者名: 三木寿美、山本圭、村上誠
  • 雑誌名: 臨床免疫・アレルギー科 巻: 63 ページ: 156-163
• [雑誌論文] The adipocyte-inducible secreted phospholipases PLA2G5 and PLA2G2E play distinct roles in obesity. (2014)
  • 著者名/発表者名: Sato, H., Taketomi, Y., Ushida, A., Isogai, Y., Kojima, T., Hirabayashi, T., Miki, Y., Yamamoto, K., Nishito, Y., Kobayashi, T., Ikeda, K., Taguchi, R., Hara, S., Ida, S., Miyamoto, Y., Watanabe, M., Baba, H., Miyata, K., Oike, Y., Gelb, M.H., and Murakami, M.
  • 雑誌名: Cell Metab. 巻: 20 ページ: 119-132
  • DOI: 10.1016/j.cmet.2014.05.002.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Emerging roles of secreted phospholipase A2 enzymes: the 3rd edition. (2014)
  • 著者名/発表者名: Murakami, M., Taketomi, Y., Miki, Y., Sato, H., Yamamoto, K., and Lambeau, G.
  • 雑誌名: Biochimie 巻: 107PA ページ: 105-113
  • DOI: 10.1016/j.biochi.2014.09.003
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Group VIB calcium-independent phospholipase A2 (iPLA2γ) regulates platelet activation, hemostasis and thrombosis in mice. (2014)
  • 著者名/発表者名: Yoda, E., Rai, K., Ogawa, M., Takakura, Y., Kuwata, H., Suzuki, H., Nakatani, Y., Murakami, M., and Hara, S.
  • 雑誌名: PLoS One 巻: 9 ページ: e109409
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0109409
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] ERK1/2 antagonize AMPK-dependent regulation of FcεRI-mediated mast cell activation and anaphylaxis. (2014)
  • 著者名/発表者名: Hwang, S.K., Lu, Y., Li, X., Kim, Y.D., Cho, Y.S., Jahng, Y., Son, J.K., Lee, Y.J., Kang, W., Taketomi, Y., Murakami, M., Moon, T.C., and Chang, H.W.
  • 雑誌名: J. Allergy Clin. Immunol. 巻: 134 ページ: 714-721
  • DOI: 10.1016/j.jaci.2014.05.001
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] ホスホリパーゼA2によるマスト細胞の制御 (2014)
  • 著者名/発表者名: 武富芳隆、村上誠
  • 雑誌名: 臨床免疫・アレルギー科 巻: 62 ページ: 659-667
• [雑誌論文] リン脂質シグナル、PLA2と発がん (2014)
  • 著者名/発表者名: 武富芳隆、村上誠
  • 雑誌名: The Lipids. 巻: 25 ページ: 70-78
• [雑誌論文] リン脂質の質と量の変動が全身の代謝を決める：ホスホリパーゼA2による代謝シグナル (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤弘泰、村上誠
  • 雑誌名: 実験医学増刊―驚愕の代謝システム 巻: 32 ページ: 27-33
• [雑誌論文] sPLA2を起点とした脂質ネットワークによる免疫制御の新機軸 (2014)
  • 著者名/発表者名: 武富芳隆、村上誠
  • 雑誌名: 生化学 巻: 86 ページ: 286-291
• [雑誌論文] 分泌性ホスホリパーゼA2による免疫制御 (2014)
  • 著者名/発表者名: 武富芳隆、村上誠
  • 雑誌名: 医学のあゆみ 巻: 248 ページ: 949-955
• [学会発表] New insights into PLA2s from outside and inside. (2015)
  • 著者名/発表者名: Murakami, M.
  • 学会等名: The 6th International Conference on Phospholipase A2 and Lipid Mediators
  • 発表場所: 京王プラザホテル（東京都新宿区）
  • 年月日: 2015-02-10 – 2015-02-12
  • 招待講演
• [学会発表] ホスホリパーゼA2分子ファミリーの新しいパラダイム (2015)
  • 著者名/発表者名: 村上誠
  • 学会等名: 第161回脂質談話会
  • 発表場所: 東京大学（東京都文京区）
  • 年月日: 2015-01-14
  • 招待講演
• [学会発表] 皮膚脂質代謝の新機軸 (2014)
  • 著者名/発表者名: 村上誠、平林哲也、山本圭
  • 学会等名: 第７回セラミド研究会
  • 発表場所: 東京ユビキタス協創広場CANVAS（東京都中央区）
  • 年月日: 2014-10-30 – 2014-10-31
  • 招待講演
• [学会発表] リン脂質からオメガ3脂肪酸を動員するホスホリパーゼA2 (2014)
  • 著者名/発表者名: 村上誠
  • 学会等名: 第16回DHA・EPA協議会
  • 発表場所: アイビーホール青学会館（東京都渋谷区）
  • 年月日: 2014-10-23
  • 招待講演
• [学会発表] 新規PNPLA/iPLA2の新しい機能 (2014)
  • 著者名/発表者名: 平林哲也、村上誠
  • 学会等名: 第87回日本生化学会
  • 発表場所: 京都国際会議場（京都府京都市）
  • 年月日: 2014-10-15 – 2014-10-18
  • 招待講演
• [学会発表] 酸化リン脂質選択的ホスホリパーゼA2のマスト細胞脱顆粒シグナルにおける機能 (2014)
  • 著者名/発表者名: 河野望、嶋中雄太、武富芳隆、村上誠、新井洋由
  • 学会等名: 第87回日本生化学会
  • 発表場所: 京都国際会議場（京都府京都市）
  • 年月日: 2014-10-15 – 2014-10-18
  • 招待講演
• [学会発表] ホスホリパーゼA2を起点とした脂質免疫制御と疾患 (2014)
  • 著者名/発表者名: 武富芳隆、村上誠
  • 学会等名: 第87回日本生化学会
  • 発表場所: 京都国際会議場（京都府京都市）
  • 年月日: 2014-10-15 – 2014-10-18
  • 招待講演
• [学会発表] Novel biological functions of PLA2 (2014)
  • 著者名/発表者名: Murakami, M.
  • 学会等名: Nobel Forum: Lipid Mediators in Health and Disease
  • 発表場所: Stockholm, Sweden
  • 年月日: 2014-08-27 – 2014-08-29
  • 招待講演
• [学会発表] ホスホリパーゼA2を基軸とした脂質免疫制御 (2014)
  • 著者名/発表者名: 武富芳隆、宮崎拓郎、佐藤弘泰、村上誠
  • 学会等名: 第35回日本炎症再生医学会
  • 発表場所: 万国津梁館（沖縄県名護市）
  • 年月日: 2014-07-02 – 2014-07-04
  • 招待講演
• [学会発表] 代謝性慢性炎症を制御するメタボリックsPLA2 (2014)
  • 著者名/発表者名: 村上誠、佐藤弘泰、武富芳隆
  • 学会等名: 第35回日本炎症再生医学会
  • 発表場所: 万国津梁館（沖縄県名護市）
  • 年月日: 2014-07-02 – 2014-07-04
  • 招待講演
• [学会発表] Phospholipase A2 and lipid mediators in health and disease (2014)
  • 著者名/発表者名: Murakami, M.
  • 学会等名: 2014 Yonsei-Igakuken Joint Symposium
  • 発表場所: Seoul, Korea
  • 年月日: 2014-06-19 – 2014-06-20
  • 招待講演
• [学会発表] 脂質分解酵素と生活習慣病との関連 (2014)
  • 著者名/発表者名: 村上誠
  • 学会等名: 第14回日本抗加齢学会
  • 発表場所: 大阪国際会議場（大阪府大阪市）
  • 年月日: 2014-06-07 – 2014-06-08
  • 招待講演
• [図書] Bioactive Lipid Mediators: Current Reviews and Protocols (2015)
  • 著者名/発表者名: Yokomizo T. and Murakami, M.
  • 総ページ数: 印刷中
  • 出版者: Springer
• [図書] 実験医学増刊ー脂質疾患学 (2015)
  • 著者名/発表者名: 村上誠、横溝岳彦
  • 総ページ数: 印刷中
  • 出版者: 秀潤社
• [備考] 脂肪細胞から分泌されるリン脂質分解酵素PLA2G5とPLA2G2Eは肥満において異なる役割を担う
  • URL: http://first.lifesciencedb.jp/archives/8936#more-8936
• [備考] 脂肪細胞から分泌される脂質代謝酵素による肥満の新しい調節機構の発見
  • URL: http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140606/
• [備考] 脂肪細胞から分泌される脂質代謝酵素による肥満の新しい調節機構の発見
  • URL: http://www.igakuken.or.jp/topics/2014/0606.html
• [産業財産権] 皮膚バリア機能促進剤のスクリーニング方法 (2014)
  • 発明者名: 村上誠、平林哲也
  • 権利者名: 村上誠、平林哲也
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 特願特願2014-116066
  • 出願年月日: 2014-06-04