計画研究
EPA(20:5 n-3)やDHA(22:6 n-3)などω3脂肪酸には、抗炎症作用や心血管保護作用があることが知られているが、その詳細なメカニズムは不明である。我々は、ω3脂肪酸を体内で生合成できるように遺伝子改変したトランスジェニックマウス(Fat-1マウス)を用いた解析、および栄養因子としてαリノレン酸(18:3 n-3)を多く含む亜麻仁油と、リノール酸(18:2 n-6)を多く含む大豆油、それぞれを含む飼料で飼育したマウスを用いた解析を行った。Fat-1マウスは持続的圧負荷による心肥大・心不全モデルに対して抵抗性を示し、LC-MS/MSを用いたメタボローム解析から、心筋組織の線維化を抑制することで心臓保護作用を示すω3系代謝物18-HEPEを新たに同定した。一方、亜麻仁油を摂取したマウスは大豆油を摂取したマウスに比べて、卵白アルブミンで惹起される食物アレルギーモデルに対して抵抗性を示し、亜麻仁油を摂取した際に腸内で生成する脂肪酸代謝物の包括的なメタボローム解析から、抗アレルギー作用を有するω3系代謝物17,18-EpETEを見出した。さらに、急性腹膜炎の炎症部位におけるDHA代謝物の包括的メタボローム解析から、DHA由来の新規の抗炎症性代謝物として14,20-dihydroxy-DHAを見出した。14,20-dihydroxy-DHAは好酸球の12/15-リポキシゲナーゼ経路により生成し、有機合成により生体内で生成する化合物の立体化学が14S,20R-dihydroxy-DHAであることを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 20件) 備考 (1件)
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