研究概要 |
(1)血中脂質メディエーターの測定(清原):2002年の久山町の集団3,298名において、血清中の脂肪酸分画、1,25(OH)_2ビタミンD、高感度C反応性蛋白(HS-CRP)の測定を行った。 (2)対象集団の追跡調査およびデータベースの構築(清原):2002年の久山町の集団3,298名を7年間追跡し、死亡者およびその原死因、脳卒中および虚血性心疾患の発症者、糖尿病・胃癌・大腸癌の発症者の発症者をそれぞれ同定した。これらをもとに、2002年の健診項目と血中脂質メディエーターの値(血清脂肪酸分画、1,25(OH)_2ビタミンD、HS-CRP)、各疾患の死亡・発症情報を組み込んだデータベースを構築した。 (3)追跡調査における脂肪酸分画と総死亡との関連(清原):構築されたデータベースをもとに、脂肪酸分画の中の血清エイコサペンタエン酸・アラキドン酸(EPA/AA)濃度比を算出した(中央値0.41(四分位範囲0.29-0.59))。この集団を7年間追跡すると、血清EPA/AA濃度比の低下は総死亡率および心血管病死亡率(性年齢調整後)の上昇と有意に関連し、血清EPA/AA濃度比が0.25未満の群では0.75以上の群に比べ、総死亡の相対危険(多変量調整後)が約2倍高いことを見出した。 (4)脂質メディエーター関連遺伝子群のSNPs測定(久保):脂質メディエーターの関連遺伝子群としてBLT1, BLT2, PAFR, S1P1, Spns2, Spns3, Spns1, DP, GPR44, FP, EP2, EP4, EP1, EP3, IP, SMS1, SMS2, SMS1, ANGPTL2, 15-LOX, PLA2G2D, PLA2G3, PNPLA7, PNPLA5, PLA2G2E, PNPLA1, PNPLA8, P2Y10, GPR174, PS-PLA1, PA-PLA1beta, NPP2, PA-PLA1, LPA4, Sphk2, PLD1, PLD2を抽出し、この遺伝子群から118SNPsを選び、2002年の集団で遺伝子検査に同意した3,196名に対して、現在SNPタイピングを行っている。
|