研究領域 | 翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻 |
研究課題/領域番号 |
22117004
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90263160)
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研究分担者 |
斉藤 愛記 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00516312)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 翻訳後修飾 / NF-kappaB / 癌 / 細胞分化 |
研究実績の概要 |
NF-kappaBは炎症、アポトーシス、腫瘍、分化など様々な生命現象に深くかかわることが知られている重要な転写因子であり、その制御機構の解明が慢性炎症性疾患や悪性腫瘍などの難治性疾患に対する有効な治療法開発に貢献することが期待されている。とりわけ悪性腫瘍細胞における持続的NF-kappaB活性化は癌細胞の生存、増殖、浸潤、転移、抗癌剤への耐性に関わることがこれまでの研究で示唆されており、その分子メカニズムの解明が新たな治療標的の同定につながることが期待されている。本研究では、NF-kappaBの活性化が代表的翻訳後修飾であるユビキチン化とリン酸化によって大きく制御されていることに注目し、数あるNF-kappaB制御因子の中から悪性腫瘍およびマクロファージ分化過程でおけるユビキチン修飾酵素A20とリン酸化酵素NF-kappaB inducing kinase (NIK)の役割について解析している。A20はNF-kappaBの定型的活性化経路を抑制すること、B細胞系悪性腫瘍で変異や欠失が知られているが、本研究では意外にも内因性A20発現をノックダウンすることによって癌細胞の生存、増殖が著しく抑制され細胞死が誘導されることを見出しており、現在その分子機構を解明するべく解析中である。マクロファージへの分化モデル細胞を用いた実験系では、分化誘導に伴い持続的なNF-kappaB依存性転写活性化が起こること、A20発現が強く誘導されること、分化誘導刺激に際してNF-kappaB依存性転写活性化を抑制して起こるアポトーシスをA20が抑制し分化をサポートすることを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NIKについては、卵巣癌でも異常発現を見出し臨床検体での検証を行った。条件付きノックアウトマウスの作製は最終段階にある。A20については、癌細胞の生存と増殖に重要な役割を果たすことが分子レベルで明らかになりつつある。当初予定したリン酸化、ユビキチン化制御の両面で研究が進捗している。A20が細胞分化においてNF-kappaBによって誘導される必要不可欠な標的因子であることが、明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
NIKの腫瘍形成における役割を解明するためには、臨床検体の解析だけでなく動物腫瘍モデルでの検証が必要である。現在NIK条件付きKOマウスを用いて、同系マウスの腫瘍モデルで検証を行う予定である。A20の癌細胞の生存と増殖に対する作用が脱ユビキチン化酵素活性に依存するのか、ユビキチン結合酵素活性に依存するのか、いずれにも依存しないのか、その標的分子が何か、などについて明らかにする必要がある。
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