計画研究
転写因子NF-kappaBは炎症、アポトーシス、腫瘍、分化など様々な生命現象に深くかかわることが知られている重要な転写因子であり、その制御機構の解明が慢性炎症性疾患や悪性腫瘍などの難治性疾患に対する有効な治療法開発に貢献することが期待されている。とりわけ悪性腫瘍細胞における持続的NF-kappaB活性化は癌細胞の生存、増殖、浸潤、転移、抗癌剤への耐性に関わることがこれまでの研究で示唆されており、その分子メカニズムの解明が新たな治療標的の同定につながることが期待されている。本研究では、NF-kappaBの活性化が代表的翻訳後修飾であるユビキチン化とリン酸化によって大きく制御されていることに注目し、リン酸化酵素NF-kappaB inducing kinase (NIK)の役割と悪性腫瘍およびマクロファージ分化過程におけるユビキチン修飾酵素A20について解析した。NIKについては、卵巣癌細胞における翻訳前段階での高発現と腫瘍形質への貢献を明らかにした。A20は、NF-kappaBの定型的活性化経路を抑制すること、B細胞リンパ腫で腫瘍抑制因子として働くことが知られているが、本研究によりHTLV-I感染細胞では意外にもA20が癌細胞の生存、増殖に必要であること、マクロファージへの分化モデルでは分化に伴う持続的なNF-kappaB依存性転写活性化を抑制することによって惹起される細胞死をA20が単独で阻止できること、これらの作用がA20の酵素活性には依存せず、カルボキシル末端側zinc-fingerドメインを介していることを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://molv.org/research.html