計画研究
細胞内シグナル伝達ネットワークは,蛋白質のさまざまな翻訳後修飾によって制御されている.そして近年の研究により,これら様々な翻訳後修飾は,癌,心血管疾患,神経変性疾患,自己免疫疾患から感染症に至るまでの,多くの病因・病態に関与していることが分かってきた.特に,これらのシグナル伝達ネットワークを理解するためには,その構築基盤となっている因子の相互作用を立体構造情報に基づいて解明することが必須である.cGASはそのような修飾シグナルに関わる因子の一つであり,ウイルス由来のDNAを認識することで活性化し,ATPとGTPからcyclic GMP-AMPを産生する酵素である.cyclic GMP-AMPはSTINGに結合し,下流へとシグナルを伝えることでI型インターフェロンの産生を促す.このようにcGASはウイルス感染の初期に応答して,宿主の免疫系を活性化する重要な酵素であるにも関わらず,どのようにcGASがウイルスDNAを認識しているかについては不明であった.そこで本研究ではX線結晶構造解析の手法を用いてcGASの立体構造を決定し,cGASによるDNA認識機構を原子分解能レベルで解明した.さらに,解明した構造に基づいた生化学的,細胞生物学的解析を行うことで,cGASはジンクフィンガー,および,正電荷の溝を介してウイルスDNAを認識し,cyclic GMP-AMPを産生することで免疫を活性化することが明らかとなった.他に病原菌が有するcyclic GMP-AMP産生酵素DncVの立体構造解析も行い,ヒトcGASとの構造比較を行うことで,DncVとcGASの基質・産物特性のメカニズムを解明した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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