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2010 年度 実績報告書

翻訳語修飾によるシグナル伝達制御とその破綻に起因する疾患の数理モデル

計画研究

研究領域翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻
研究課題/領域番号 22117008
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関東京大学

研究代表者

市川 一寿  東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (20343626)

キーワードNF-κB核移行 / ユビキチン化 / TRAF6 / MEKK3 / IKK / A-Cell / stochastic simulation
研究概要

非均一場においてタンパク1分子の座標と状態を管理する離散的・確率論的シミュレーション(SS)の新たな手法をA-Cellへ組み込んだ。これにより、通常の生化学反応式を記述するだけでSSを実行することが可能となり、実験研究者がSSを実行できる環境を提供することに成功した。次にA-CellのJava化を行い、領域内共同研究の基盤構築を完了した。
一方、NF-κB出活性化のモデル構築とシミュレーションを行った。その結果、従来考えられていた直列型活性化モデルでは実験で観測されているIKKのリン酸化を説明できないことが明らかになった。そこでこの問題を解決する可能性としてTRAF6を中心とする複合体形成に注目し、MEKK3のユビキチン化がIKKのリン酸化に至る複合体形成の足場として準安定化状態を提供するという新たなメカニズムを導入し、シミュレーションを行った。その結果TRAF6-MEKK3Ubがそれ以降の活性化を行うための「ため池」として機能し、実験結果を説明できることを明らかにした。この結果はMEKK3がTAK1/TABに先立ちTRAF6と結合すること、またMEKK3のユビキチン化が効率的なIKKのリン酸化とそれに続くNF-κBの活性化・核移行に重要であることを示唆するものであり、平成22年度の目標である複合体形成の順番とユビキチン化の機能についてシミュレーションの立場から指摘することができた。
次に、サイトカイン刺激によって核内NF-κBが振動する実験に基づいたコンピュータシミュレーションが行われてきたが、我々はこれまでの点モデルを実際の細胞の3次元モデルへと拡張した。その結果、点モデルでは考慮できなかった空間パラメータである核/細胞質体積比(N/C比)が振動周期と減衰時定数に大きな影響を与えることを新たに見出した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Localized activation of proteins in a free intracellular space: dependence of cellular morphologies and reaction schemes2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhisa Ichikawa
    • 雑誌名

      BioSystems

      巻: 105 ページ: 173-180

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stochastic simulation of biological reactions, and its applications for studying actin polymerization2010

    • 著者名/発表者名
      Kazuhisa Ichikawa
    • 雑誌名

      Physical Biology

      巻: 7 ページ: 46010

    • 査読あり
  • [学会発表] A new method of stochastic simulation and its application to the reorganization of actin filaments in invadopodia2011

    • 著者名/発表者名
      Kazuhisa Ichikawa
    • 学会等名
      AACR-NCI Conference on Systems Biology
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      2011-03-28
  • [学会発表] タンパク複合体シミュレーションの基礎とTRAF6複合体におけるNF-κB活性化2011

    • 著者名/発表者名
      市川一寿
    • 学会等名
      文部科学省・科学研究費補助金・新学術領域研究「修飾シグナル病」第一回公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-01-29
  • [学会発表] Bottom up modeling of protein dynamics in invadopodia2010

    • 著者名/発表者名
      Kazuhisa Ichikawa
    • 学会等名
      International Workshop on Mathematics for Biology
    • 発表場所
      Pohang, Republic of Korer
    • 年月日
      2010-07-12
  • [備考]

    • URL

      http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/mathcancer/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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