研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
22118002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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研究分担者 |
山本 雅之 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50166823)
阪上 朝子 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 客員研究員 (90462689)
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キーワード | Fucci細胞 / 細胞分化 / エピジェネティクス / 骨髄異形成症候群 / 細胞周期 / イメージング |
研究概要 |
造血細胞分化とエピジェネティクスの関係を調べるために以下のような実験を行なっている。 1.新たなFucciとしてG0マーカーの開発を行なった。NIH3T3細胞においてG0マーカーを発現している細胞分画の発現解析を行なったところ、エピジェネティクス関連分子などG0に関与することが予想される遺伝子群が同定できた。造血細胞でも当該G0マーカーがうまく働くかを検討している。 2,細胞周期インディケータFucciの性能を向上させた。またエピジェネティック変化を可視化するインディケータ作製も開始した。これらのインディケータを駆使してイメージングを行い、造血細胞由来の分化過程を可視化する体制を構築した。 3.細胞分化に伴い色が変化するマーカーを開発したが、細胞によってはうまく働かないため、現在ベクターを改良中である。 4.変異型EZH2およびASXL1を発現させた骨髄細胞を移植したマウスはMDSあるいはMDS/AML様の症候を発症した。 5.変異型EZH2およびASXL1のトランスジェニックマウスを作成中。現在、ジャームラインに乗ったかどうかを解析しているところである。 6.転写抑制因子Hes1には翻訳開始点が異なる2種の分子が存在すること、この2種の分子が協調して細胞増殖を誘導することを明らかにした。 7.昨年度に機能を明らかにしたGATA2遺伝子エンハンサーは、EVl1を高発現する3q21q26白血病にみられる3q21と3q26間の染色体転座/逆位の際にEVl1遺伝子に近接する。そこで、大腸菌人工染色体を用いて、エンハンサーを含む3q21領域とEVl1遺伝子を含む3q26領域との逆位アリルを再現するトランスジーンをもつマウスを作製し、表現型を解析したところ、このマウスが3q21q26白血病を再現するマウスモデルとなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス骨髄移植モデルによるMDS、MDS/AMLマウスの樹立と解析は予定通り進捗している。またG0マーカーについてもほぼ予定通りに研究が進んでいる。一方、分化により色が変わる細胞の開発については作製したベクターがうまく働かない細胞が多く、現在ベクターを改良中である関係で進捗状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
MDS、MDS/AMLマウスの解析はエピジェネティクス関連(ChIP、ChIP-seqなど)を中心に進める。G0マーカーや新たなFucci細胞インジケーターについてはトランスジェニックマウスの解析を進める。
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