研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
22118004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河本 宏 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (00343228)
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研究分担者 |
谷内 一郎 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (20284573)
指田 吾郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70349447)
岩間 厚志 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244126) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 免疫学 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究は、多能前駆細胞からT前駆細胞への分化能限定過程すなわち、M-T-B前駆細胞から順次M-T前駆細胞、T前駆細胞になるという段階的分化能喪失過程の分子機構を解明する。主に用いる方法は、試験管内で特定の分化段階で任意に分化を停止させたり再開させたりする手法である。具体的には、転写因子E2AあるいはEBF1の機能阻害と、ノッチシグナルとIL-7シグナルの持続的付与により、それぞれM-T-BおよびM-T段階で分化を強制停止させる方法を用いた。 24年度の研究では、これらの方法を用いて、分化再開細胞のゲノムワイドな遺伝子発現解析を経時的に行ない、M-T-BからM-T前駆細胞への誘導に働く転写因子の遺伝子発現の変化を捉えることに成功した(未発表)。また、22年度からの研究分担者の岩間らはエピジェネティックな制御因子であるポリコーム遺伝子がB細胞系列への決定を制御していることを見いだしたが、本課題の中ではこの知見を発展させこれまでにT前駆細胞においてポリコムを欠失させるとT系列からB系列へ分化転換することを見いだした(未発表)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
未発表の成果のうち、経時的サンプルから転写ネットワークを予測するアプローチは極めて先進的である。ポリコムの欠失により系列間の運命転換が起こるという発見は、これまでにそういう報告例がなく、重大な発見と考えている。従って、当初の計画以上に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は転写因子ネットワークを描出する作業を進め、さらにその検証作業にとりかかる。具体的には、24年度までに開発した化停止細胞/分化再開培養法を用いて、経時的培養の細胞を材料として、得られたデータをもとにしてバイオインフォマティクス解析を加える。この解析により、転写因子のネットワークを高い確度で予測することができる。モデルを構築した後は、その検証作業を行う。すなわち、モデルの中で予測されたキー転写因子を強制発現させる/抑制するなどの操作を加え、その転写因子が標的の転写因子を実際に制御しているかどうかを検証する。この作業により、分化決定の主因子をさらに絞り込み、系列決定状態を規定しているコアの転写サーキットをあぶりだす作業を行なう。また、経時的細胞サンプルのヒストンの修飾状況、DNAメチレーションの状態などをゲノムワイドに解析し、転写ネットワークの変遷との関連を調べる。これらの解析により、各分化ステージの分化能を保障する転写ネットワークおよびエピジェネティック制御機構を明らかにする。
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