研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
22118006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮島 篤 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50135232)
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キーワード | 幹細胞 / ニッチ / 発生 / サイトカイン / 骨髄 |
研究概要 |
胎児肝造血におけるサブメソテリアル細胞の造血支持機能を明らかにした。また成体肝臓の間葉系細胞が、貧血時においてエリスロポエチンを産生することが示された。 骨髄の造血ニッチ細胞に分化するとされているMSCのサブセットをセルソーターを用いて分取し,OSMの添加/非添加培養系で脂肪細胞分化誘導を行い,定量的RT-PCRによる脂肪分化マーカーの遺伝子発現解析やOil red O染色により脂肪細胞分化を検討した。一方,骨芽細胞分化誘導におけるOSM作用の検討では、骨分化マーカーの遺伝子発現解析やAlizarin red S染色を行った。その結果,OSMはin vitroにおいて脂肪細胞分化を抑制し,骨芽細胞への初期の分化を促進するが未熟な状態に留めている可能性が示唆された。 肝臓に存在する免疫系細胞を細胞膜抗原の発現により分離して詳細に検討した結果、従来クッパー細胞と考えられていた細胞集団は複数の異なる細胞集団からなることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝臓における造血支持機能が明らかにされ、肝臓における造血機構に新しい視点を加えた。骨髄造血におけるニッチ細胞に対するオンコスタチンMの機能が示された。さらに、肝臓における免疫系細胞の解析により、従来見落とされていた細胞集団が見つかった。
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今後の研究の推進方策 |
肝臓における免疫系細胞の理解は十分でない。F4/80陽性細胞は肝在住マクロファージであるクッパー細胞であると一般には考えられてきたが、この細胞集団は好酸球など複数の細胞集団からなることから、さらなる詳細な解析が必要である。今後は、これらの細胞の生理的な意味を明らかにすることが重要である。
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