計画研究
細胞周期のリポーターであるFucciを発現するダブルトランスジェニックマウスから骨髄細胞を調製して、破骨細胞形成に至る過程を動画撮影した。分化前半の48時間まではS期の緑色の細胞が周期的に増加し、後半の48時間以後はG1期にあると思われる赤色の細胞が急激に増加するのが観察された。これらの細胞が融合して多核の破骨細胞が形成されると同時に核の赤色がより鮮明に濃くなるのが観察され細胞周期から逸脱してG0期に入ったものと想定された。FACS解析によって赤色の単核細胞を選別すると、NFATc1、PGC-1beta、cathepsin Kなどの破骨細胞マーカー遺伝子の発現が、緑の細胞や無色の細胞より高いことが確認された。破骨細胞分化に必須のサイトカインであるRANKLのin vivoでの発現細胞を解析したところ、骨細胞より骨芽細胞で高いことを確認した。一方、OPGの発現は骨芽細胞より骨細胞で高かった。RANKLを骨芽細胞系列でノックアウトしたマウスの解析において、ドキシサイクリンの投与を停止することにより6週齢以降から、主として骨芽細胞においてRANKL発現を抑えた場合でも、骨吸収マーカーの低下と骨量の増加が観察されたことから、RANKLの主な産生源は骨芽細胞であると結論づけた。
2: おおむね順調に進展している
骨髄の造血細胞でFucciを発現するダブルトランスジェニックマウスを利用して、細胞周期と分化との関係を個々の細胞レベルで解析することがはじめてできた。また、自ら開発したRANKL floxマウスを用いて、in vivoでのRANKLの主要な産生細胞を同定することができた。
破骨細胞分化の前半における盛んな細胞分裂と終末分化との関係についてさらに解析を深める。破骨細胞が分泌する因子を解析することによって、分化した破骨細胞が発信するシグナル分子とその意義について知見を深める。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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