計画研究
1) 植物のアルミニウム耐性遺伝子の機能同定と発現制御イネのアルミニウム耐性に液胞膜に局在するハーフサイズABCトランスポーターOsALS1が必要であり、またマグネシウムトランスポーターOsMGT1の発現上昇がアルミニウム毒性を軽減することを明らかにした。これらの遺伝子はアルミニウムによって発現が誘導され、転写因子ART1の制御下にある。一方、オオムギのアルミニウム耐性遺伝子HvAACT1の発現制御機構を調べたところ、耐性品種のHvAACT1上流にある1kbの挿入が発現量と組織局在に重要な役割を果たしていることを突き止めた。またこの遺伝子は鉄輸送遺伝子から進化してきたことも明らかにした。2) 他のミネラル吸収に関与する遺伝子の機能解析Nrampファミリーに属するOsNramp5はイネのマンガンとカドミウム吸収の主要な輸送体であることを明らかにした。ホウ素吸収に重要なNIP5;1 mRNAの蓄積はホウ素欠乏で5'UTR領域を介した制御で誘導されるが、5'UTR領域のuORFとリボソームの相互作用によって制御が起こっていることを見いだした。ケイ酸トランスポーター遺伝子Lsi1の発現制御領域を転写開始点上流約400bpの範囲まで限定した。またオオムギの地上部でのケイ素の分配に、節の木部転送細胞とその隣接の柔細胞に局在するHvLsi6とHvLsi2による維管束間輸送が機能していることを明らかにした。銅を古い組織から新しい組織や穂へ届けるためにOsYSL16が必要であることを明らかにした。イネから同定したDOCS1遺伝子はreceptor-like kinaseをコードし、根の外層の細胞(表皮、外皮と厚壁細胞)の正常な形成に必要である。この遺伝子が破壊されると、金属毒性耐性が弱くなる。
1: 当初の計画以上に進展している
当初目標より耐性遺伝子の同定が進み、Impact factorの高い雑誌に論文発表ができた。
引き続き共同研究などを通じて、植物の酸性土壌突破力の統合的解明を行う。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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