研究領域 | 大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析 |
研究課題/領域番号 |
22119002
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
馬 建鋒 岡山大学, その他部局等, 教授 (80260389)
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研究分担者 |
山地 直樹 岡山大学, その他部局等, 准教授 (00444646)
藤原 徹 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80242163)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 酸性土壌 / アルミニウム毒性 / 養分欠乏 / 適応機構 / 耐性遺伝子 |
研究実績の概要 |
1.植物のアルミニウム耐性遺伝子の機能同定と発現制御 イネから53アミノ酸からなるペプチドをコードするOsCDT3を同定した。OsCDT3は根の細胞膜に局在し、その発現を抑制すると、アルミニウム耐性が弱くなった。OsCDT3はアルミニウム輸送能を持たないが、アルミニウム結合能を有していた。また酸性土壌に適応したシラゲガヤ(白毛茅)は、リンゴ酸の分泌に関与する遺伝子HlALMT1のプロモーター領域に転写因子であるART1と結合するシス因子の数を増やして、HlALMT1の発現を高めていることを明らかにした。 2.他のミネラル吸収に関与する遺伝子の機能解析 イネの節に存在するマンガン輸送体OsNramp3が、環境中のマンガン濃度が低い時には、少ないマンガンを優先的に成長の活発な新葉や穂に分配し、濃度が高くなると、素早く分解され、その結果、過剰なマンガンは古い葉に分配されることを明らかにした。またOsHMA2が亜鉛を優先的に成長が活発な組織に輸送し、OsHMA5は銅の導管へのローディングに関与していることを明らかにした。 銅に感受性のシロイヌナズナ変異株の生理実験と分子遺伝学実験を進めたところ、原因遺伝子は植物のペプチドホルモンの硫黄付加に関与する酵素であった。この変異株は銀に対する感受性にも異常が見られたことから、エチレンの関与が示唆され、エチレンの発生量を測定したところ、変異株においてはエチレン生成が増加する傾向にあった。これらの結果はこのペプチドホルモンがエチレン発生に影響を及ぼしていることを示唆していると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
モデリングの研究者と共同研究を行い、植物の酸性土壌突破力の統合的解析を行う。
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