研究領域 | 大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析 |
研究課題/領域番号 |
22119003
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山谷 知行 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30144778)
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研究分担者 |
草野 都 東北大学, 理化学研究所・植物科学研究センター, 研究員 (60415148)
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キーワード | イネ / 窒素飢餓 / 逆遺伝学 / メタボローム / 生存戦略 / 代謝ネットワーク / 窒素同化代謝 / 窒素情報 |
研究概要 |
還元状態の水田で成育するイネは、NH_4^+を主要な窒素源とする。窒素は、イネにとって最も不足する元素であると同時に、直接バイオマスや収量を規定する。一方、窒素同化代謝は炭素やエネルギー代謝と密接に関わるが、窒素欠乏や適正状態の情報の受容、その後の高次な同化代謝機構、固体としての応答機構に関わる分子実態はほとんど明らかではない。本研究では、窒素飢餓に対するイネの生存戦略の解明を目的とした。本年度は、下記の項目に焦点をあて研究を進め、成果を得た。 1.NH_4^+情報の受容機構:NH_4^+情報を受容する可能性の高いACTPK1タンパク質に関して、遺伝子破壊変異体をTos17ミュータントパネルから獲得し、解析を進めた。まだ受容体である直接の証明はできていないが、ACTPK1タンパク質は、過剰のNH_4^+吸収を抑制する機能を持つことが推定された。 2.逆遺伝学とメタボローム解析:サイトゾル型グルタミン合成酵素(GS1;1)遺伝子破壊変異体を供試してメタボローム解析を進め、野生型と比較した。その結果、変異体では窒素と炭素の代謝バランスが大きく崩れ、窒素代謝産物の大幅な減少と炭素代謝産物の増加が認められた。GS1;1は、窒素と炭素の代謝バランスの鍵を握る酵素であることが判明し、この成果を国際学術雑誌に公表した。また、他のGS1;2やGS1;3、またNADH-グルタミン酸合成酵素1(NADH-GOGAT1)とNADH-GOGAT2のすべての遺伝子破壊変異体を獲得することに成功した。NADH-GOGAT1に関して水田で収穫期まで栽培し、その表現型の解析などから、この酵素は根における初期同化と、地上部の分げつや穂の発達に重要な機能を持つことが示唆された。この成果も、国際学術雑誌に公表した。
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