計画研究
移動の自由のない植物は、環境の変化を速やかに感じ取り適応して生存・成長する環境突破力を進化の過程で獲得してきたものと考えられる。本研究では乾燥と高温ストレスの両方に応答する制御ネットワークで重要な働きを示す転写因子DREB2Aの活性化機構を分子レベルで解明し、DREB2Aが関与する乾燥と高温ストレスによる遺伝子発現の制御ネットワークを明らかにすることを目指している。これまでに、DREB2Aプロモーターを手掛かりに、シロイヌナズナの高温ストレス応答において、3つのHsfA1が遺伝子発現カスケードの最上流に位置するマスター転写因子であることを明らかにした。HsfA1は恒常的に発現しているため、その活性は翻訳後調節を受けていると考えられる。欠失変異を含むHsfA1シリーズを作製して解析したところ、HsfA1の活性を負に調節している領域が見出された。HSP70およびHSP90がこの領域を介してHsfA1の活性を抑制していると考えられた。一方、HsfA1によるDREB2Aなどの転写因子遺伝子の発現誘導には、HsfA1の活性化とは独立の機構も必要であることが示された。DREB2Aタンパク質は翻訳後調節も受けており、乾燥や高温ストレスにより活性化されて下流遺伝子の発現を誘導すると考えられる。これまでの解析で、乾燥や高温のストレス処理に応答してDREB2Aタンパク質の分解が抑制されることが、下流遺伝子の発現に重要であることを明らかにした。DREB2Aの分解には、タンパク質内に存在する負の活性調節領域(NRD)が関与している。NRD内に存在する保存されたSer/Thrクラスターに変異を導入すると、DREB2Aの分解が抑制され、下流遺伝子の発現が活性化されたことから、このSer/Thrクラスターが負の活性制御機構に重要であることが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件)
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