計画研究
植物の表皮に存在する気孔は、一対の孔辺細胞により構成され、様々な環境シグナルに応答してその開度を調節し、光合成に必要な二酸化炭素取り込み、蒸散や酸素の放出など植物と大気間のガス交換を制御している。本研究では、気孔開閉のシグナル伝達の分子機構の解明を目的として、新奇の気孔開度変異体の解析や気孔孔辺細胞を用いた生理・生化学的解析を進めている。赤外線サーモグラフィを用いたスクリーニングにより、新奇の気孔開度変異体lost1とlost4を単離し、lost1変異体の原因遺伝子がクロロフィル合成酵素であるMgキラターゼIサブユニットであることを明らかにした。詳細な解析の結果、Mg-キラターゼは複合体として気孔のABAシグナル伝達に影響することが明らかとなった。さらに関連変異体を用いた解析により、葉緑体におけるクロロフィルやフィトクロモビリンのテトラピロール色素の生合成が、気孔のABA応答に影響する可能性が示唆された。lost4変異体については、原因遺伝子が新奇の気孔開度制御因子であることが明らかとなったため、現在その機能解析を進めている。また、これまでの研究により、光周性花成誘導に関与する因子が、間接的に気孔開口を正に制御していることが示された。光周性花成誘導では、茎頂分裂組織において遺伝子の発現制御が行われていることが知られている。そこで、気孔開度制御に関わることが新たに明らかとなったSOC1の過剰発現株の孔辺細胞における網羅的な遺伝子発現解析を行い、気孔開口に関与する既知因子を含め多くの遺伝子の発現が変動していること見出た。加えて、青色光に依存した気孔開口のシグナル伝達機構の解明に向け、遺伝学的スクリーニングとケミカルスクリーニングを進め、多くの突然変異体と候補化合物を同定した。現在、シグナル伝達の解明に向け、原因遺伝子や化合物標的の同定を進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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