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2010 年度 実績報告書

栄養応答における新規転写後制御機構の解明

計画研究

研究領域大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析
研究課題/領域番号 22119006
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関北海道大学

研究代表者

内藤 哲  北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20164105)

キーワードシロイヌナズナ / リボソーム / 翻訳停止 / mRNA分解 / 試験管内翻
研究概要

様々な環境条件下での植物の持続的成長には,環境変動に対して細胞内恒常性を厳密に維持する機構が不可欠であり,細胞内環境を機敏に感知し,それを即座に細胞の機能調節に反映させる分子メカニズムが必要である。シスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,植物においてメチオニン生合成の鍵段階を触媒する。メチオニンの生合成はCGSをコードするCGS1遺伝子の翻訳段階で,メチオニンの代謝産物であるS-アデノシルメチオニン(SAM)に応答した翻訳停止と共役したCGS1 mRNAの分解によってフィードバック制御される。CGS1 mRNAのSAMに応答した翻訳停止機構の解析を行った。リボソーム出口トンネル内の新生ペプチドのコンフォメーション変化を調べるため,ペジレーション法を用いた。翻訳停止位置から様々な距離にシステイン残基を1つだけ持つように設計したCGS1 mRNAを用いて試験管内翻訳を行い,翻訳停止したリボソーム・新生ペプチド・mRNA複合体を回収してペジレーション解析を行った。その結果,SAM存在下では出口トンネル内のCGS1新生ペプチドがSAM非存在下と比べてよりコンパクトな構造を取ることが明らかになった。一方,MTO1領域内にアミノ酸置換を持ちSAMに応答したCGS1の発現制御が起こらないmtol変異を導入したmRNAでは,SAMの有無にかかわらず,出口トンネル内のCGS1新生ペプチドがコンパクトな構造を取ることはなかった。これらの結果より,SAMに応答した翻訳停止と出口トンネル内のCGS1新生ペプチドのコンフォメーション変化が密接な関係にあることが示された。低分子化合物の有無に応答して出口トンネル内の新生ペプチドがコンフォメーション変化を起こすことを示した最初の例である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] S-Adenosyl-L-methionine Induces Compaction of Nascent Peptide Chain inside the Ribosomal Exit Tunnel upon Translation Arrest in Arabidopsis CGS1.2011

    • 著者名/発表者名
      尾上典之, 山下由衣, 長尾信宏, 後藤デレック, 尾之内均, 内藤哲
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] S-アデノシルメチオニンはシロイヌナズナCGS1新生ペプチドに縮んだ構造をとらせる2011

    • 著者名/発表者名
      山下由衣, 尾上典之, 尾之内均, 内藤哲
    • 学会等名
      第52回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      年会(仙台,東北大学)は地震により中止となったが,要旨集の公開をもって成立(学会HP http://www.jspp.org/参照)
    • 年月日
      2011-03-11
  • [学会発表] CGS1遺伝子発現の転写後自己制御機構:翻訳アレストに関与する配列の解析2010

    • 著者名/発表者名
      中西健彦, 古家由理, 尾上典之, 尾之内均, 内藤哲
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸,神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2010-12-08

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公開日: 2012-07-19  

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