計画研究
様々な環境条件下での植物の持続的成長には,環境変動に対して細胞内恒常性を厳密に維持する機構が不可欠である。シスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,植物においてメチオニン生合成の鍵段階を触媒する。メチオニンの生合成はCGSをコードするCGS1遺伝子の翻訳段階で,メチオニンの代謝産物であるS-アデノシルメチオニン(SAM)に応答したSer-94コドンでの翻訳停止と共役したCGS1 mRNAの分解によってフィードバック制御される。出口トンネルにはリボソームタンパク質L4とL22が突き出た狭窄部位がある。SAMに応答したCGS1 mRNAの翻訳停止における出口トンネルの関与を解析するため,L4タンパク質のβ-ループに変異を導入したトランスジェニック・シロイヌナズナを構築した。シロイヌナズナは,L4AとL4Dの2つのL4遺伝子を持つ。L4Dのβ-ループ頂点の両側に欠失を導入し,C末端にFLAGタグを付けて,L4Dノックアウト株に導入した。Western解析により,変異型リボソームが構築され,翻訳に与っていることを示した。これらの植物からシロイヌナズナ試験管内翻訳系(Plant Cell Physiol. 52:1443-53, 2011)を調製し,GST:CGS1-exon 1 mRNAを翻訳させた結果,SAMに応答した翻訳停止効率が対照株に比べて低下していた。一方,SAMに応答した翻訳停止に伴って,MTO1領域を含む新生ペプチドは,出口トンネル内で収縮したコンフォメーションを取る(J. Biol. Chem., 286:14903-12, 2011)。新生ペプチドのコンフォメーション変化を調べた結果,SAMに応答した新生ペプチドの収縮が起こりにくくなっていた。これらの結果は,SAMに応答したCGS1 mRNAの翻訳停止に,リボソーム出口トンネルの狭窄部位が関与することを示している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Nucleic Acids Research
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http://www.agr.hokudai.ac.jp/arabi/research.html