研究概要 |
これまでの研究で、第12染色体に座乗する浮イネ性原因遺伝子がエチレン反応性のAP2/ERF型転写因子Snorkel1, Snorkel2をコードしていることが明らかになっている。そこで、これらの遺伝子が植物ホルモンのエチレンにどのように制御されているかを明らかにするため、Snorkel遺伝子とエチレンに関する分子生物学的実験を行った。シロイヌナズナにおけるエチレン研究よりエチレン情報伝達因子EIN3がAP2/ERF型エチレン反応性遺伝子のプロモーター領域に結合することが明らかになっている。これまでに、イネにおけるEIN3ホモログ遺伝子としてOsEIL1~6が同定されている。このうち、OsEIL1bがAtEIN3と最も相同性が高いことから、大腸菌内で過剰発現させたOsEIL1bタンパク質を用いて、Snorkel1, Snorkel2のプロモーター領域に結合するかをゲルシフトアッセイ法により確認した。その結果、OsEIL1bタンパク質はSnorkel1, Snorkel2のプロモーター領域に結合することが明らかになった。 続いて、日本型イネのT65(非浮イネ)染色体背景にSnorkel1, Snorkel2が座乗する第12染色体QTL領域が浮イネ染色体(インド型)に置換した浮イネ準同質遺伝子系統(NIL-12)にOsEIL1bを過剰発現させた形質転換植物を作成した。OsEIL1bを過剰発現した組換え植物は通常の栽培条件下でSnorkel1, Snorkel2の発現を誘導するともに、節間伸長を誘導した。以上の結果は、Snorkel1, Snorkel2の発現がOsEIL1bにより制御され、Snorkel遺伝子が発現することで節間伸長が誘導される可能性を示唆した。
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