計画研究
南アジアのデルタ地帯に生育する浮きイネは、通常の栽培条件では1m 程度の草丈であるが、水位の上昇に応答して茎を伸長させ水面に出た葉から酸素を得ることにより、洪水環境下で生き抜くことができまる。これは、移動することの出来ない植物が節間伸長性を利用して過酷な環境を突破した一例である。本研究ではこの浮きイネの節間伸長の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。昨年までの研究で、イネ第1染色体に存在する浮きイネQTLの候補領域に、ジベレリン(GA)合成酵素遺伝子のGA20酸化酵素遺伝子(GA20ox2)が座乗していることが示されていた。そこで、2014年度は浮きイネ型のGA20ox2を浮きイネ準同質遺伝子系統NIL12に導入したところ、著しく節間伸長が誘導されたことから、イネ第1染色体 QTLがGA20ox2をコードしていると結論した。また浮きイネと日本型イネのGA20ox2の酵素活性を比較したところ、浮きイネのGA20ox2の酵素活性は日本型イネのGA20ox2の酵素活性に比べ、500倍もの高活性示した。また、イネプロトプラストを用いたトランジェントアッセイ法によりGA20ox2遺伝子のプロモーター領域にはエチレンの情報伝達因子EIN3の結合がすることが明らかになった。これまでの結果から、浮きイネでは、深水でエチレンを植物体内に蓄積し、通常は分解し続けているエチレン情報伝達因子EIN3を安定化させることによってのGA20ox2遺伝子のプロモーターに結合し、高活性型のGA20ox2遺伝子の発現を上昇さえることによってGAを生産していることが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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