計画研究
動植物を問わず、幹細胞ゲノムは安定的に保持されないと器官成長に重篤な影響を与える。植物の根の場合、幹細胞ゲノムに損傷が入ると細胞死が起こるが、隣りの静止中心の細胞が分裂することにより、細胞死を起こした幹細胞を再び生成することが知られている。つまり、隣り合った細胞の間で細胞死と細胞分裂という異なる方向性をもった現象が同時に誘導されるが、そのメカニズムはほとんど明らかにされていない。そこで、本研究ではDNA損傷応答のマスター制御因子であるSOG1転写因子に注目して、これらの現象を協調的に制御する機構解明に取り組んだ。SOG1のマイクロアレイ解析およびChIP-Seq解析により標的遺伝子を絞り込んだところ、ブラシノステロイドの受容やオーキシンシグナルの阻害に関わる因子を同定することができた。そこで、これらの変異体や過剰発現体の表現型解析、およびmRNAおよびタンパク質レベルの発現解析を行った結果、オーキシンシグナルの阻害が幹細胞の細胞死を誘導し、ブラシノステロイドシグナルの活性化が静止中心の細胞分裂を誘導することが示唆された。また、SOG1はサイトカイニン合成を促進することにより、分裂領域の細胞をより早くDNA倍加に移行させる役割をもつことも明らかになった。以上の研究結果から、植物はDNA損傷に応答してオーキシン、ブラシノステロイド、サイトカイニンといった異なる種類の植物ホルモンを制御することにより、幹細胞ゲノムを維持し、分裂領域を限定化していることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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