研究領域 | 大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析 |
研究課題/領域番号 |
22119010
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
杉本 慶子 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能研究ユニット, ユニットリーダー (30455349)
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キーワード | 細胞成長 / 転写因子 / トライヘリックス / 細胞周期 / 核内倍加 / シロイヌナズナ |
研究概要 |
植物の成長は細胞増殖とその後の伸長成長により規定される。細胞成長を最終的に停止させる仕組みは植物の器官サイズを決める上で極めて重要であり、その制御は様々な環境要因に応答した植物器官の柔軟な成長制御を実現していると考えられる。本研究は細胞成長の停止に働く制御メカニズムを明らかにすることにより、環境変動に応答した細胞・器官サイズの制御機構についての理解を進めることを目的としている。本年度の研究では特にわれわれが最近同定した細胞生長を抑制的に制御する転写因子GT2-LIKE1(GTL1)に注目し、その下流及び上流で働く因子の機能解析を通じて、環境変動に応答した細胞生長の制御ネットワークの解明を目指した。GTL1による直接発現制御を受ける下流遺伝子を同定するためにはゲノムワイドのクロマチン免疫沈降解析とマイクロアレイ解析を組み合わせる手法を採用した。これらの二つの解析から、GTL1が上流プロモーター領域に結合することが予測される遺伝子でかつ野生型に較べてgtl1変異体でその発現量に変化がみられる遺伝子を選抜した。次にこれらの下流候補遺伝子の発現をin vivoでモニターするため、それぞれの遺伝子のプロモーター領域下流にGFPを連結したマーカーコンストラクトを作成し、gtl1変異体とGTL1過剰発現体に導入した。今後GTL1に依存して発現量や発現パターンが変化する遺伝子をさらに絞り込み、これらの遺伝子の欠損変異体や過剰発現体、またgtl1変異体やGTL1過剰発現体との多重変異体を作成し、GTL1との機能関係を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GTL1の下流因子について候補遺伝子を170個程度同定しており、GTL1がいかに細胞生長を制御するのかに関して十分な仮説を立てることができるところまで進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は下流因子の機能欠損体や過剰発現体、またgtl1変異体やGTL1過剰発現体との多重変異体を作成し、GTL1との機能関係を解析していく。またGTL1の発現を規定する上流転写ネットワークについても解析に着手する予定である。
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