計画研究
植物の成長は細胞増殖とその後の伸長成長により規定される。細胞成長を最終的に停止させるしくみは植物の器官サイズを決める上で極めて重要であり、様々な環境要因に応答した植物器官の柔軟な成長制御を実現していると考えられる。シロイヌナズナの転写因子 GTL1は細胞成長の終了時期に発現し、細胞成長を停止させる。本研究ではこれまでにGTL1を介した細胞成長のメカニズムを解明するため、GTL1によって直接転写制御を受ける下流標的遺伝子の同定を進めてきた。今年度はGTL1のホモログであるDF1にも注目しgtl1 df1二重変異体の表現型解析を通して、GTL1とDF1が根の成長、重力屈性、乾燥耐性など、さらに広範な機能を持つことを発見した。またゲノムワイドのクロマチン免疫沈降解析から、GTL1とDF1がともに直接結合する塩基配列を決定し、新たな下流標的遺伝子候補として1100個余りの遺伝子を同定した。このうち、GTL1とDF1の機能欠損、過剰発現によって発現が変化する遺伝子として181個の遺伝子を下流候補因子候補として絞り込み、それぞれの遺伝子の欠損変異体の整備を進めた。またこれまでに酵母ワンハイブリッド法によって同定したGTL1の上流転写因子の機能解析を進めた。これらの転写因子をGTL1のプロモターレポーターコンストラクトとともにシロイヌナズナの培養細胞に導入し、GTL1のプロモーター活性が変化するかどうかを検証した。これまでに数個の転写因子がGTL1のプロモーターを活性化、もしくは抑制することが分かった。
2: おおむね順調に進展している
GTL1とDF1の上流、下流因子候補が順調にとれてきており、機能解析を進める事が出来たため。
GTL1とDF1の根毛成長における役割について重点的に解析する。とくにGTL1とDF1が根毛細胞の成長を停止する際に直接発現抑制する下流遺伝子を同定し、環境ストレスによって根毛成長の度合いが制御される仕組みの一旦を明らかにする。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
Plant Cell Physiol
巻: 54(8) ページ: 1365-1377
10.1093/pcp/pct086
Plant Physiol.
巻: 162(2) ページ: 831-841
10.1104/pp.113.216796
Scientific Reports
巻: 3 ページ: 2866
10.1038/srep02866
Plant Physiol
巻: 161(4) ページ: 1930-1951
10.1104/pp.113.214908
Plant Cell
巻: 25 ページ: 3159-3173
10.1105/tpc.113.116053
http://cellfunction.riken.jp/