• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

植物システム制御の数理モデリング

計画研究

研究領域大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析
研究課題/領域番号 22119011
研究機関北海道大学

研究代表者

佐竹 暁子  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (70506237)

研究分担者 沖 大幹  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50221148)
キーワード生態・環境 / 植物生理 / 植物分子生物 / 数理モデル / 地球環境変化
研究概要

一般に、葉におけるデンプン量は明条件でほぼ線形に増加し、暗条件ではほぼ線形に減少する。このことによって、夜間にも安定したショ糖提供を可能にする。日長が短縮されると非常に短い期間で明条件におけるデンプン蓄積速度が増加し、暗条件ではデンプン分解速度の低下がみられ、その結果夜明け前においてもショ糖が枯渇することなく利用可能となる。このような日長変化に対するすばやい応答は、植物の成長を維持するために必須であると考えられるが、そのメカニズムは全くわかっていない。近年、デンプン合成や分解、そしてショ糖輸送体などが体内時計によって制御されていることが次々と明らかになってきた。そこで本研究では、これらの体内時計によるデンプン生合成と輸送体の制御を仮定し、ショ糖-デンプン生合成プロセスおよび異なる組織間のショ糖輸送をモデル化した。日長変化によるショ糖枯渇の程度によって体内リズムの位相が変化する場合、実際に観測されたデンプン蓄積速度と分解速度の変化を非常によく説明できることが明らかとなった。また、当モデルはなぜデンプン蓄積量の変化がほぼ線形になるのか、その仕組みも説明可能である。興味深いことに、ショ糖輸送体の活性ピークは常に日暮れにみられることが予測された。これらの結果は、現在論文としてとりまとめ発孝準備をしている段階である。統合水循環・水資源モデルの数値シミュレーション
に関しては、本研究で明らかになる植物個体の成長生存戦略の分子メカニズムの解明が実社会に及ぼす影響の評価として、水不足が健康余命に及ぼす影響を定量的に明らかにした。人間活動を考慮し、水源別の農業用水利用も推計可能な統合水循環・水資源モデルの数値シミュレーションから世界各国における農業用水投入量の年々変動と芋類+穀物の総収穫量の相関解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

篩部輸送モデルや水循環モデルはすでに開発していることと、ケイ素輸送モデルについては引き続き積極的に取り組んでいることから、おおむね順調に進展していると判断した。より詳細な篩部ネットワーク上における養分輸送パターンの予測と、ソースとシンクにおける資源の生産と消費のダイナミクスに関しては、現モデルの発展として研究をすすめている。

今後の研究の推進方策

今後は、すでに開発されたショ糖輸送モデルを用いたより包括的な解析を進め、ショ糖枯渇ストレスと位相変化を結びつける関数としてどれが最も制度良くデータを説明できるかを探る。さらに、概日と計周期と昼夜周期の同調性と器官間の輸送パターンの関係を明らかにし、それが植物バイオマス成長に与える影響を見積もる。イネ穂ネットワークにおけるショ糖輸送モデルを開発し、高い生産性を実現するために必要な条件を明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Tolerance of eddy covariance flux measurement2011

    • 著者名/発表者名
      Wonsik Kim, Jaeil Cho, Daisuke Komori, Masatoshi Aoki, Masayuki Yokozawa, Shinjiro Kanae, Taikan Oki
    • 雑誌名

      Hydrological Research Letters

      巻: 5 ページ: 73-77

    • DOI

      10.3178/hrl.5.73

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multi-Model Estimate of the Terrestrial Global Water Balance : Setup and First Results2011

    • 著者名/発表者名
      Haddeland, I., D.Clark, W.Franssen, F.Ludwig, F.Voss, N.W.Arnell, N.Bertrand, M.Best, S.Folwell, D.Gerten, S.Gomes, S.N.Gosling, S.Hagemann, N.Hanasaki, R.Harding, J.Heinke, P.Kabat, S.Koirala, T.Oki, J.Polcher, T.Stacke, P.Viterbo, G.P.Weedon, P.Yehm
    • 雑誌名

      Journal of Hydrometeor

      巻: 12 ページ: 869-884

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The effects of annual precipitation and mean air temperature on annual runoff in global forest regions2011

    • 著者名/発表者名
      Cho, J., H.Komatsu, Y.Pokhrel, P.J.-F.Yeh, T.Oki, S.Kanae
    • 雑誌名

      Climatic Change

      巻: 108 ページ: 401-410

    • 査読あり
  • [学会発表] Sources and sinks distribution in a phloem transportation model on a binary tree network2012

    • 著者名/発表者名
      Francois Fujie, Akiko Satake
    • 学会等名
      日本生態学会第49回年大会
    • 発表場所
      龍谷大学(滋賀県)
    • 年月日
      2012-03-21
  • [学会発表] Model of resource transportation in branching network of plants. Abstract2011

    • 著者名/発表者名
      Francois Fujie, Akiko Satake
    • 学会等名
      日本数理生物学会第21回年大会
    • 発表場所
      明治大学(東京都)
    • 年月日
      2011-09-14

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi