計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、陸上植物の水獲得に機能する根の水分屈性の発現機構、根が水、重力、光など複数の環境刺激応答を統御するしくみを明らかにし、植物機能の理解や生物生産の向上に資することを目的としている。そのため、これまでに明らかにした水分屈性制御分子MIZ1およびMIZ2の機能、新規水分屈性制御分子、水分勾配センサー、情報伝達機構の解明に向けた研究を行っている。本年度の主な成果は、以下の通りである。1)MIZ1の機能を知る一助としてMIZ1過剰発現体を作出して解析した結果、MIZ1の過剰発現は主根の水分屈性を促進しただけでなく、側根の形成を抑制した。この側根形成の抑制はオーキシンの投与により回復し、根の内生オーキシン量が野生型と比べmiz1突然変異体で増加し、MIZ1過剰発現体で低下することがわかった。これらのことからMIZ1が根のオーキシン量を負に調節する分子であることが示唆された。2)MIZ1の過剰発現が側根形成にも関与したことから、側根の水分屈性能のMIZ1による制御についても解析した。その結果、側根も主根と同様に水分屈性を示すこと、側根の水分屈性においてもMIZ1が必須であることが明らかになった。3)MIZ1-GFP発現系統を作出して解析した結果、MIZ1-GFPの発現は明所で培養した植物の根端と伸長域において見られ、暗所では根端のシグナルが消失していた。さらに、水分屈性ならびにMIZ1-GFPの発現は、光およびアブシジン酸の制御を受けることを見出した。4)MIZ1の細胞内局在を解析した結果、MIZ1タンパク質は細胞質ならびに小胞体膜に局在することがわかった。5)ミヤコグサとイネの水分屈性実験系を構築し、比較解析した結果、ミヤコグサの水分屈性はシロイヌナズナに類似してオーキシンの極性輸送に依存せず、イネの水分屈性はオーキシン極性輸送を必要とすることがわかった。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (20件)
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