計画研究
細胞内環境の維持と変動は、細胞内で生じるあらゆる生理機能の基盤的要素であり、無機イオン・代謝物質やタンパク質の濃度・分布として捉えることができる。本研究では、温度、塩ストレス時の水・イオン環境、必須栄養素のリン酸への応答、さらに病原体や共生微生物に着目し、細胞膜、および小胞体から液胞につながる単膜系オルガネラの構成要素である膜構造、構成タンパク質、あるいは低分子量代謝物質や無機イオン類が、これらの外部環境の変化に対してどのように変動するかを明らかにし、その分子機構を解析することを目的とした。平成26、27年度の研究成果として、1.アフリカ原産のセントポーリアの葉で、急激な温度降下により生じる柵状細胞の傷害が液胞膜の破壊によることを明らかにし、それが細胞内へのCa2+の流入によって引き起こされること、Ca2+の流入は機械感受性イオンチャンネル阻害剤が効果をもち、柵状細胞に強く発現する機械感受性イオンチャンネルとしてセントポーリアのMCAチャンネルの配列情報を明らかにした。また、形質転換体作成のために無菌植物からの再生系の確立に成功した。2.低リン環境で生育したシロイヌナズナ根が高リン環境に遭遇した際に短時間で発現する遺伝子の解析を進め、異なるリン濃度での応答過程の解析を行った。また、ポプラが落葉時にリンを回収する機構についても解析を進め、冬季に幹にフィチン酸が貯蔵されることと、ポプラ体内でのリン動態を明らかにした。3.生物障害に関与する細胞応答系として、ミロシン細胞の分化機構を明らかにした。また、外部環境に対する細胞応答として、植物器官の屈性応答反応の調節を担っている組織を新規に同定し、その役割の解明を進めた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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