研究領域 | 植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで |
研究課題/領域番号 |
22120008
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研究機関 | 株式会社日立製作所(研究開発本部) |
研究代表者 |
神原 秀記 株式会社日立製作所(研究開発本部), 研開, フェロー (20397011)
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研究分担者 |
梶山 智晴 株式会社日立製作所(研究開発本部), 中研, サブリーダ/主任研究員 (50573044)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 単一細胞解析 / 遺伝子発現 / 遺伝子定量解析 / 植物組織 / 定量PCR / cDNAライブラリ / 組織採取 |
研究実績の概要 |
植物組織を対象とした、1細胞レベルの複数遺伝子定量発現解析技術を開発している。植物組織の遺伝子発現解析では、以下の課題が存在する。(1)植物組織は細胞が細胞壁に囲まれており、細胞質の抽出のためには細胞壁を破壊する必要がある。(2)植物細胞は、細胞内に核酸分解酵素を多く含んだ液胞が存在し、小さな刺激でも細胞内で浸潤することがあり、細胞質内の遺伝子分解が起こりやすい。 そこで、本年度は、以下の技術開発を行った。(1)昨年度開発した「微小切片の高速採取法及びcDNAライブラリー作製法」について、処理の高速化と遺伝子分解の抑制を目的とするプロトコルの改良を実施した。その結果、mRNA回収率を約3倍に向上できた。(2)別途開発中である「次世代シーケンサを活用する単一細胞網羅的遺伝子解析法」に、上記「微小切片の高速採取法及びcDNAライブラリー作製法」を応用し、植物の微小切片の網羅的遺伝子発現解析のプロトコルを開発した。(3)「微小切片の高速採取」を顕微鏡観察下で実施できる採取システムの1次試作を行った。2013年度に改良を行い、同年度中の完成をめざす。(4)長谷班と連携し、シロイヌナズナの光応答遺伝子の部位特異的解析技術を推進。光応答関連遺伝子と、組織マーカーの同時解析により、茎頂の成長点部分の遺伝子発現情報を抜き出す研究を実施した。現在、成果論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度までに、繰り返し定量PCR解析のための洗浄技術、植物組織採取技術、および組織からのcDNAライブラリ合成技術を開発した。また、同技術の応用研究として、組織ごとの光応答の違いを評価する研究を、長谷班と連携して行っている。さらに、次世代シーケンサの普及に対応し、同シーケンサを用いる網羅的解析用プロトコルの検討も開始し、ほぼ確立することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
現在、開発中の微小切片採取システムを完成させる。また、次世代シーケンサ利用網羅的解析プロトコルを用い、微小切片の遺伝子発現解析を他の研究班と連携して推進する。
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