研究領域 | 植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで |
研究課題/領域番号 |
22120009
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 勝利 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (00271792)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 質量顕微鏡 / 植物生理学 |
研究概要 |
質量顕微鏡装置の測定スループットを大幅に向上させる目的で、これまで使用していた100Hz発振の紫外パルスレーザーを1KHz発振できるタイプのレーザーに置き換えた。これに伴い、これまで用いていた光ファイバーとカセグレン鏡を用いた紫外パルス光伝達及び集光光学系が全く使えなくなってしまったため、新規に空間伝搬系及びUV用対物レンズを用いたパルス光伝搬及び集光光学系を設計し、実装することに成功した。 紫外パルスレーザー及び伝搬・集光光学系を新規に実装するために、質量顕微鏡用イオン源制御ソフトウエアの大幅な改変にも取り組んだ。これによって、これまで10000点の質量スペクトル測定及びデータ取得におよそ24時間かかっていたところを、約3分の1の8時間程度で質量顕微鏡測定を終えることができるようになり、測定のスループットを大幅に向上することに成功した。 改良したハイスループット質量顕微鏡装置を用いて、計画研究班、公募研究班との有機的な共同研究を大幅に促進することができた。シロイヌナズナをはじめとした様々な植物試料にたいして、地上部、地下部など異なる組織の質量顕微鏡測定を実施した。 ハイスループット質量顕微鏡装置により、短時間に生み出される膨大なデータを解析するためのデータ解析ソフトウエアの開発・改良も積極的に実施した。一回の測定で得られる200GB以上の生データを加工してファイル容量を500分の1程度まで減少させたデータを読み込み、様々な質量を持つ分子イオンごとの二次元分布を表示し、特異的な局在性を示すイオンを探索するためのソフトウエアの開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りに順調に装置開発及びデータ解析ソフトウエアの開発が進展し、他の計画研究班、公募研究班とのコラボレーションも順調に進んでいたが、高周波発振タイプの紫外レーザー及びその伝達・集光光学系を大幅に改良したために、測定のスループットを計画以上に向上させ、他研究班とのコラボレーションも加速的に増大したため、当初の研究計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
紫外レーザー及び伝搬・集光光学系を大幅に改良したため、測定自体のスループットが大幅に向上した。現在、一度の測定に用いる1つのサンプルのみを真空チャンバー内に装着したのち、真空引きをして質量顕微鏡測定を行っているが、測定自体のスループットが向上したために、このサンプル交換作業(真空引き含む)にかかる時間が無視できず、トータルの測定スループットのボトルネックになってしまっている。このため、今後、複数の測定試料を真空チャンバー内に装着し、真空を破らない状態でサンプルの交換、測定を行うための仕組みの開発を行う計画である。これにより、大幅に増大した、他研究班とのコラボレーションをさらに増加させることが可能になると考えている。
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