研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
22121002
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
箱嶋 敏雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00164773)
|
研究分担者 |
三島 正規 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70346310)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 構造生物学 / 分子生物学 / 生化学 / タンパク質 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
【動物細胞における細胞骨格系を制御するタンパク質】 細胞運動野研究としては、RacGEFであるTiam1のPHCCExドメインと相互作用のNMRによる解析を進めるとともに、運動機能のリン酸化による制御に重要なRho-キナーゼのPH-C1ドメインの溶液中での構造決定と相互作用を解析した(三島・箱嶋)。また、新たに軸索伸長で重要な成長円錐の運動に関与するタンパク質の生化学的/構造学的研究の予備実験を終了した(箱嶋)。運動の方向の研究では、ミオシン-Xによる成長円錐端への特異的輸送機構を、tubulinやintegrinとの複合体結晶の作成の可能性を検討した(箱嶋)。更に、 力学的応答の研究に関しては、vinculinとα-cateninでの複合体、ならびに、自己阻害型のα-cateninのデータ収集や構造解析を完成するとともに、更に、張力センサー部位のAFMによる伸長実験やシュミレーションにより、力応答曲線を求めて、定量的なバネ特性を明らかにする研究に拡張した(箱嶋・平野)。また、密着結合でのアクチン繊維制御に関わるRacGEFであるRich1や、その制御に関わるアクチン結合AMOTの生化学的解析と構造決定した(箱嶋)。発展型として、細胞の張力依存性と細胞の大きさや細胞の増殖抑制との関係で重要と考えられるα-cateninとmerlin、あるいはYAP1との相互作用解析も開始した。 【植物シグナル伝達における構造生物学の新展開】 DELLAタンパク質関連の研究では、GRASドメインの結晶構造解析を完成した。また、GRASドメインと相互作用する転写因子との相互作用解析や結晶化を進めた(箱嶋・平野)。 更に、植物ホルモン受容体:strigolactoneの受容体候補となっているD14タンパク質や、karrikinの受容体候補のD14Lの複合体の構造を決定して論文発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、1.動物細胞のシグナル検知と伝達制御と、2.植物細胞のシグナル検知と伝達制御の研究を推進してきた。前者では、RacGEFであるTiam1の自己阻害・接着分子等の認識・活性化の機構解明による細胞運動研究の成果(箱嶋・三島)、ミオシン-Xによる成長円錐端への特異的輸送機構解明による運動方向の研究成果、α-cateninの張力センサー機構の構造的・生物物理学的特性の解明による力学的応答研究の成果(箱嶋・平野)があり、後者では、ジベレリン経路でのDELLAタンパク質等で重要なGRASドメインタンパク質のタンパク質レベルでの生化学的・構造学的研究成果や、植物ホルモン(strigolactoneやkarrikin)の受容体による検知機構の解明で成果が挙がっており(箱嶋・平野)、これらの成果について論文発表等が進んでおり、当初予定をほぼ完了しており、論文発発表と新たな展開を目指した展開を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進んでいるので、引き続き、これまで通りの体制、本研究の始動期に形成した体制である博士研究員1名、研究員3名、技術補佐員1名、ならびに共同研究者である准教授1名と、連携研究者である助教1名と大学院生10名程度で引き続き推進していく。
|