計画研究
透過電子顕微鏡(TEM)を用いた単粒子画像解析法は、結晶を必要としない構造決定法なため、結晶作製が難しい複合体の構造解析に大きく貢献することが期待されている。元来は、巨大タンパク質を得意とする方法で、近年では、数百kDaの比較的大きなタンパク質で原子分解能が達成された。しかし、もっと小さな通常サイズの分子の解析が強く求められている。我々は、これまで柔らかい情報処理を取り入れた新手法を開発してきている。さらに本年度は、確立概念に基づく新たなアルゴリズムによる3次元再構成法の論文を、J.Struct.Biol誌に報告した。さらに、膜タンパクや分泌タンパク質の翻訳における分泌に重要なSecDFの構造と変化を東大濡木等と決定した。その動きはクレーンの様にダイナミックで、ペプチドを細胞膜を越え輸送するために重要と考えられる。また、シグナル制御複合体を理解するには、細胞・組織レベルでの研究も重要である。光学顕微鏡観察は、光の波長を飛躍的に上回る分解能は期待できないが、我々が開発したASEMは、解放環境にある溶液中の細胞が観察できる倒立型走査電顕である。細胞は固定するだけで水溶液中の自然な環境で観察でき、8nm分解能を有する。さらに、水溶液中で抗原が保護されるため、幅広い抗体・抗原による免疫電顕が初代培養細胞に対してできる。神経細胞の軸索内区画化、GluRδ2ラベル磁気ビーズによるシナプス形成の誘導、巨核球による血小板形成、免疫樹状細胞の細菌の捕食の観察に成功した(Ultramicroscopy)。 また、組織を固定・染色するだけで、自然な水環境下で観察することができる。さらに、核の大きさから、肺や脊髄組織に転移したガン細胞を識別できた(Int.J.Oncology, 2015)。電子線によって励起される蛍光の観察にも成功し始めている(Ultramicroscopy)。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 6件)
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