研究概要 |
本申請においては、(1) CAF-I, HIRAの立体構造解析、及びCAF-I, HIRAとCIA, H3-H4との複合体の構造解析、(2) エピジェネティック機構の解明、という目標を立て、昨年度までに昆虫細胞や大腸菌でのCAF-I, HIRAの大量発現系・大量精製系の構築を試みてきた。 CAF-Iはp150, p60, p48という3種類のサブユニットから構成されるヘテロ三量体であるが、今年度、CAF-Iについては、ヒトCAF-Iの3つのサブユニットについて、昆虫細胞での大量発現系・大量精製系の確立を行った。精製はHisTrap、ハイドロキシアパタイト、ゲル濾過を用いて行った。これらの精製標品について、電子顕微鏡により負染色像を観察した結果、ヒトCAF-Iと思われるおよそ10nmの粒子が検出された。しかし現状では、サイズがやや小さい粒子も多数検出されており、いくつかのサブユニットが解離していることが想定された。そのため、結晶化にはさらなる精製条件の検討(又は複合体の安定化条件の探索)が必要であると考えている。なお、CAF-IをヒストンH3-H4と混合した後に、ゲル濾過カラムにて精製すると、CAF-I複合体が安定化されているような結果(電子顕微鏡による負染色像観察)が得られた。この結果から、H3-H4の添加によりCAF-I複合体を安定化できると考えている。これと並行して、出芽酵母から内在性のCAF-I複合体を部分精製することにも成功している。 HIRAについては、単独での発現・精製が困難なようなので、生物種の変更、相互作用因子との共発現・共結晶化や、一部ドメインの発現・結晶化を検討している。
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