計画研究
真核生物では、細胞が正常にかつ効率よく機能するためには、核と細胞質の間で連携した物質輸送が必要である。核―細胞質間物質輸送では、輸送担体が分子量の大きな積荷分子を認識し、輸送担体-積荷分子複合体を形成し核膜を通過する。本研究では、核―細胞質間物質輸送において、輸送担体がどのように積荷分子を認識し、どのような仕組みで核膜を通過するのかを、放射光を用いた高精度測定により得られる高精度の複合体構造に基づいて明らかにする。本年度は、RNAの核外輸送に関わる複合体及び転写因子の核輸送に関わる複合体構造解析の構造解析に向けて以下のことを実施した。また、回折強度データの精度を上げるために、吹き付け装置の改良を行った。I. RNAの核外輸送に関わる複合体の結晶構造解析(1)tRNA/exportin-5/RanGTP3者複合体の結晶化について、数千種類の条件で探索を行った。(2)eEF1aの精製に成功し、tRNA/exportin-5/RanGTP/eEF1aの4者複合体の安定化条件の検討を行った。(3)3.5A分解能でexportin-5の結晶構造を行い、既報の3者複合体ではdisorderしていたexportin-5のc末端領域が観測できた。exportin-5の構造から、exportin-5がRNAを捉えるための構造変化が明らかになった。II. 細胞分化に関わる核輸送の構造研究(1)importin-α1と認識ペプチド(NLSペプチド)との複合体の構造解析の結果、新しい結合部位として可能性のある部位が見つかった。(2)Oct3/4とOct6のimportin-α1に対する相互作用の差異を理解するためにimportin-α1とOct6との複合体の形成条件の検討を行った。Oct6との複合体はOct4との複合体に比べ溶解度が低いことが分かった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Acta Crystallogr D Biol Crystallogr.
巻: 71 ページ: 473-483
10.1107/S1399004714026881.
巻: 70 ページ: 1050-1060
10.1107/S1399004714000972.