網膜の血管網は出生後に形成される。まず網膜の最内側の表面に沿って放射状に成長し、浅部血管叢を完成させる。網膜本体への血管の進入は生後2週目以降に起こり、深部・中間血管叢が段階的に形成される。この特徴的な網膜血管形成のパターンについて、なぜそのようなパターンをとるかは明らかではない。本研究では、あらゆる血管の成長に必須の因子として知られるVEGF(Vascular endothelial growth factor; 血管内皮細胞成長因子)が、網膜神経によって取り込み・消化されることで濃度勾配が形成されるという全く新たな機序により、網膜の段階的な血管形成が制御されていることを見出した。
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