計画研究
生体内の2大ネットワークとして機能する血管網と神経網との間には、双方向に働くシグナル(血管-神経ワイヤリング)が存在していると考えられている。両者ワイヤリングの実体解明は生体生理機能の統合制御の理解に繋がる。(1)脊髄や神経堤細胞(NC細胞)への遺伝子エレクトロポレーション法(Dev. Biol, 2011)に加え、血管を生体内で直接可視化する方法を組み合わせた。これらの血管-神経同時可視化法により、両者ワイヤリングの存在を高解像で検出する方法論開発の基盤整備が進んだ。(2)末梢神経と血管ワイヤリング:発生中の末梢神経の移動や分化が、近傍の血管(背側大動脈など)に依存して厳密に制御されることを明らかにした。また、大動脈に到達した神経堤細胞の更なる分化過程において、どのような血管性シグナルが働くかについて解析したところ、BMPおよびその関連分子の関与が認められた。さらに、交感神経節と副腎髄質への分岐の際、BMPシグナルへの感受性が異なることがみえてきた。加えて、末梢血管が末梢神経軸索伸展のための足場を提供する際の、特徴的形態を観察した。現在これらの神経や血管タイプの同定作業が進行中である。
2: おおむね順調に進展している
NC細胞と背側大動脈との相互作用に関しては、その分子メカニズムの理解に大きく貢献することができ、これらの成果の一部は学術誌Science誌に原著論文で発表することができた。血管-神経融合研究を、日本から世界にむけて発信できたと自負している。
NC細胞と血管との相互作用については、これまでの研究を継続する。また脊髄における血管の走行メカニズムについては、血管が走行する領域としない領域に区別されるという独自の発見を発展させ、血管走向メカニズムの分子機構に迫りたい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 7件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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