研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
22122006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関口 清俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (50187845)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 基底膜 / インテグリン / 血管 / 神経 |
研究概要 |
(1)ヒト蛋白質配列情報データベースのin silicoスクリーニングにより絞りこんだ29個のαvインテグリンのリガンド候補分子について、組換え蛋白質の発現系の構築および組換え蛋白質の精製を進め、13個の候補蛋白質の精製を完了した。また、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8インテグリンの組換え蛋白質を調製し、13個の候補蛋白質との結合活性を検索した。その結果、4種のαvインテグリンはArg-Gly-Asp(RGD)配列を含む多様なリガンド蛋白質に対して従来考えられていた以上にリガンド結合特異性が互いに異なることが明らかとなった。また、高親和性リガンドがみつかっていないαVβ8がTGF-βと高親和性で結合することを見いだした。 (2)血管-神経相互作用における基底膜分子ラミニンの関与を調べるため、ラミニンのインテグリン結合活性を選択的に不活化できるFloxマウスを作製した。このマウスをCreリコンビナーゼのトランスジェニックマウスと交配することにより、γ1鎖のC末端領域に存在するグルタミン酸残基をグルタミンに置換することができ、その結果としてCreリコンビナーゼの発現部位に限定してラミニンのインテグリン結合活性を欠失させることができる。現在、Tie2-Creマウスとの交配により、血管内皮細胞で特異的にラミニンのインテグリン活性を不活化したマウスを作製中である。なお、発生初期からすべての細胞でラミニンのインテグリン結合活性を不活化したマウスもあわせて作製したが、このマウスは胎生6.5日までに胎生致死であった。この結果は、ラミニンとインデグリンの相互作用が初期胚発生において不可欠な役割を担っていることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたインテグリンαvβ6、αvβ8の新規リガンド分子の検索が順調に進んでいる。また、血管特異的にラミニンのインテグリン結合活性を不活化する遺伝子改変マウスの作製も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、血管-神経相互作用に関わる新規インテグリンリガンドの同定を進める。既に網羅的スクリーニングで絞り込んだ候補分子の半分について解析が完了しており、24年度は残りの解析を終える予定である。また、血管特異的にラミニンを不活化する遺伝子改変マウスが得られているので、血管-神経相互作用がどのような異常をきたしているか、表現形質の解析を進める。また、ラミニン以外にも血管-神経相互作用に関わるインテグリンリガンドが見つかった場合は、その遺伝子欠損マウスの作製に着手する。
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