計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
以下の1)2)の知見が得られたため、Emx1-Creマウスを用いた実験は延期し、これらの実験を優先して行った:1)当初、表現型が見られないと考えていたR1/R1;Nestin-Creマウスの新生仔の脳切片を精査したところ、皮質層構造に異常が認められた。2)血管内皮選択的Reck欠損マウス(R1/R1;Tie2-Cre)が胎生後期に死亡することが見出された。このマウスの脳切片を作成したところ、大脳皮質組織構築の著しい異常が見出された。ただし、Tie2は神経前駆細胞にも発現するという報告がある。3)Reck発現量が正常の半分以下に低下した変異マウス(RLow/-)の最も顕著な表現型は、前肢にのみ右側優性に見られる後方骨(第5、4指、尺骨など)の低形成または欠損である。変異マウス胎児前肢では、3つのシグナリング・センター(ZPA、AER、DE)全ての低形成あるいは乱れが見出された。初期間葉組織選択的Reck欠損(Reck-flox;Prx1-Cre)が類似の表現型を与えることから、Reck低下マウス表現型は、間葉系細胞におけるReckの役割を反映するものと考えられた。whole-mount in situ hybridization(WISH)による解析から、肢芽パターン形成に関わるシグナル分子(Wnt,Fgf,Shhなど)の発現低下が認められ、特に肢芽の背側上皮(DE)から産生される背腹パターン形成因子Wnt7aの顕著な発現低下が見出された。これらの結果から、マウス前肢においては、肢芽間葉組織に発現するReckが肢芽DEの活性維持を介して肢芽パターンの形成に寄与することが示唆された。これらは、Reckの大脳皮質構築を考える上でも参考になる知見と考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Oncogene
巻: (in press)
10.1038/onc.2011.570
Biology Open
10.1242/bio.2012638