研究領域 | 神経細胞の多様性と大脳新皮質の構築 |
研究課題/領域番号 |
22123007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大隅 典子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00220343)
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研究分担者 |
須藤 文和 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 微細構造研究部, 室長 (40345848)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | Pax6 / 興奮性神経細胞 / 抑制性神経細胞 / 発生・分子 / 大脳新皮質 / Dmrta1 / Plexin / Semaphorin |
研究概要 |
Dmrtファミリーの機能に関して、大脳皮質においてもっとも早く分化する神経細胞であるカハール・レチウス(CR)細胞について詳細に検討した。Dmrta1は大脳皮質原基において、CR細胞を生み出す領域に発現し、Dmrta1 KOマウスにおいて、Reelin陽性CR細胞が野生型胚と比較して減少していることを明らかにした。Dmrta1の下流遺伝子を探索するために、野生型およびDmrta1 KOマウスのE10.5日胚の終脳を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ(n=2)、大脳皮質に発現が認められるいくつかの因子の発現量が減少していた。さらにDmrt3がDmrta1と重複して大脳皮質に発現が観察されることから(Kikkawa et al., 2013)、両者の機能重複によってDmrta1 KO胚において脳発生の異常が明瞭でない可能性がある。そこで、理研発生・再生センターの松崎文雄博士との共同研究により、両者の二重KOマウスを作製し、次年度に詳細な解析を行う予定である。また、視床皮質投射の分子制御について、軸索ガイド分子受容体plexin-A4の作用部位を明らかにするため、条件付きKOマウスの作製を行った。昨年度作製した標的ベクターを用いて、相同組換えES細胞を単離し、キメラマウスの作製を進めている。また、plexin-A4のリガンド分子であるSema6Bについて、分子作用機序の解析を行うために必要な抗体の作製を、ウサギ、ニワトリ、Sema6Bノックアウトマウスを免疫動物として用いたが、これまでのところ分子分布解析が可能な抗体は得られていない。代替策として、Sema6B遺伝子のBAC組換えコンストラクトを作製した。今後、BACトランスジェニックマウスを作製/解析するとともに、並行して受容体であるplexin-A4のSema6B結合ドメインを利用して、Sema6B分子の局在を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
野生型およびDmrta1 KOマウスのE10.5日胚の終脳を用いてマイクロアレイ解析を行い、大脳皮質に発現が認められるいくつかの因子の発現量が減少していることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞分化制御の分子機構に関して、現在、理化学研究所 発生・再生科学総合センターの松崎文雄グループリーダーとの共同研究により、Dmrta1およびDmrt3の二重KOマウスを作製している。さらに、マイクロアレイの結果から、大脳新皮質の領野特異的な分子の探索に関して興味深い結果が得られることが期待される。また、層特異的投射と新皮質領域間連絡の形成機構に関して、Sema6B遺伝子のBAC組換えコンストラクトを作製した。今後、BACトランスジェニックマウスを作製/解析するとともに、並行して受容体であるplexin-A4のSema6B結合ドメインを利用して、Sema6B分子の局在を解析する。
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