研究実績の概要 |
本研究グループにおいて、最も重要な研究方法は、再生依存的RNA干渉(regeneration-dependent RNAi, rdRNAi)である。RNAiを誘導するために、2本鎖RNAを幼虫にインジェクションしても、遺伝子の種類に依存するが、RNAiが全く誘導されない場合でも、脚を切断すると再生芽においてRNAiが特異的に誘導されることを発見した。この現象をrdRNAiと名付けた。この現象を利用して、再生メカニズムに関して下記の発見をしてきた。 1. 再生脚の遠近軸が形成される遺伝子発現と機能が境界モデルに一致。2. 脚再生において、細胞増殖及び位置情報をDachsous/Fatシグナル系が制御。3. 脚再生にLowFat(Dachsous/Fatシグナル因子の一つ)、インスリン、EGFシグナルが関与。4. 脚再生芽形成においてJAK/STATシグナル径路が関与。最終年度においては、1. 脚再生においてdachshund and Distal-lessがパターン形成に関与している。2. 脚再生にエピジェネティック因子のEnhancer of zeste, Utxが関与している。3. ノックアウト(業績文献1,2)、ノックインコオロギの作製に成功した。4. 脚切断後に、マクロファージ様細胞がコオロギにおいても再生に関与していることを発見した。これらの結果から、脚再生においては、次のプロセスで、再生されると予想した。1. 脚切断により、マクロファージ様細胞が活性化。2. マクロファージ様細胞が産生するサイトカインが未分化細胞による再生芽形成を誘導。3. 再生芽において、Wnt/BMPシグナルがEGFを誘導。4. EGFはdachshund/Distal-lessの発現およびDachsous/Fatシグナル系の発現制御することにより脚のパターンおよびサイズが決定。
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