(1)無脊椎動物での研究からインターカレーションへの関与が予想されるシグナル経路が脊椎動物の四肢再生で果たす役割を解析する研究を行った。まず、ERKシグナル経路が活性化された部位でGFPが光る遺伝子組換え(Tg)ゼノパスを作製して、同シグナルの活性の視覚化を可能にした。また同シグナル経路を時期特異的に阻害しうるTgゼノパスを熱ショックプロモーターによる発現誘導系を用いて作製し、四肢再生における同シグナル経路の果たす機能の解明を可能にした。また同様にインターカレーションへの関与が予想されるHpo/Wtsシグナル経路についても遺伝子操作によって時期特異的にシグナル経路をオン/オフにするためのコンストラクトを作製した。 (2)四肢の前後軸形成に重要な働きをするshh遺伝子の遠位エンハンサーであるMFCS1領域の活性を、MFCS1にGFPをつないだTgゼノパスを作製することで視覚化し解析した。ニワトリやマウスと同様に発生中の肢芽ではその後側でMFCS1の活性が見られることや、幼生期の再生芽でも同様に後側で活性化が見られることを確認した。一方でshhの発現が見られず、前後軸を持った四肢を再生できない成体期の再生芽においてはMFCS1の活性がほとんど見られないことを見出した。しかし一方で、少数の例では弱いながらもMFCS1の活性が再生芽の後側で一過的に見られることを発見した。この結果から、成体期の再生芽といえども前後軸に沿った位置価を残しており、後側でshhを発現しうる余地を残していることが示唆された。さらに、このエンハンサー活性を視覚化できるMFCS1-GFPのゼノパスを性成熟するまで育ててライン化することに成功した。
|