計画研究
①これまで行ってきた器官再生におけるHippo/Wts経路の機能解析の続きとして、同経路を担う中核分子のYapとTeadの機能を、ゼノパス(アフリカツメガエル)の幼生の尾の再生において阻害した。その結果、Wnt/βカテニン経路を阻害した場合には再生の開始そのものが阻害されるのに対し、YapまたはTeadの機能を阻害した際には尾の再生は開始されるものの、再生される尾のサイズが著しく小さくなることを発見した。②これまでの研究から、四肢の再生能力とゲノムのエピジェネティック制御との関連が示唆されていた。エピジェネティックなゲノムの制御のうちヒストンの修飾として代表的なものに、転写活性化の指標であるH3K4トリメチル化(H3K4me3)と転写抑制の指標であるH3K27トリメチル化(H3K27me3)の2つがある。この2種類のヒストン修飾の状態をゲノムワイドに調べるエピゲノム解析を実施した。その結果、ゼノパスの幼生では四肢原基の肢芽と、その肢芽を切断した際に形成される再生芽との間でヒストン修飾のパターンにはほとんど差がなく、再生の過程で一定に保たれることを明らかにした。shh遺伝子の四肢特異的遠位エンハンサーであるMFCS1に関しては、四肢の再生能力に対応したヒストン修飾状態(H3K4me3とH3K27me3)の違いは見られなかった。③これまで行ってきた熱ショックプロモーターの利用と赤外レーザーの照射による発現制御技術(IR-LEGO)と、より広範囲に発現を誘導できる温冷負荷装置を利用した発現制御技術をさらに洗練させ、1細胞から直径1mm以上の広範囲まで、さまざまな範囲で遺伝子発現を誘導できる実験条件を明らかにした。公募班の林利憲氏と森下喜弘氏、およびIR-LEGOの開発者の亀井保博氏と共著で、ゼノパスだけでなくイベリアトゲイモリを含めた発現誘導技術を確立し、共著で論文を出版することができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Zoological Letters
巻: 1 ページ: 17
10.1186/s40851-015-0019-y
Developmental Biology
巻: 406 ページ: 271-282
10.1016/j.ydbio.2015.08.013
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10.1016/j.ydbio.2015.08.006
Development Growth and Differentiation
巻: 57 ページ: 601-613
10.1111/dgd.12241
http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/staff/hitoshi-yokoyama