計画研究
分裂酵母の接合型変換は、ゲノムアダプテーションを理解する上で格好のモデル系であり、本研究ではその反応の分子機構を明らかにしようとしている。そのために、1)精製タンパク質を用いた試験管内再構成系の構築、2)接合型変換時のDNA鎖交換反応と相同組換えにおけるDNA鎖交換反応との生化学的差違の解明、3)3C法によってmat座位における染色体のダイナミクスや核内配置を解析、等々を計画している。これらの実験計画について、当該年度は、次の成果を得た。1、Swi2-Swi5複合体の安定供給体制の確立これまでに、Swi2はSwi5、Swi6と複合体を形成し、この複合体がRad51リコンビナーゼと相互作用して、Rad51組換え依存的な接合型変換反応を活性化することを示唆してきた。これを生化学的に証明するために、Swi2タンパク質の精製系の確立を試み、少量のswi2-Swi5複合体の精製はできた。しかし、安定供給体制には至らなかった。2、Swi2相互作用因子の同定Swi5,Swi6,Rad51以外のSwi2タンパク質相互作用因子を同定する目的で、質量分析による解析を行ったが、分裂酵母細胞内での発現量が少なく、成功しなかった。そこで酵母2ハイブリッド法を用いて、cDNAライブラリーをスクリーニングする方法に変えた。今回、3x10ex6個スクリーングし、最終的に50個余りの候補タンパク質を得た。現在のこれらの遺伝子が接合型変換に関与するかどうか、変異株を作製して解析している。3、3C法の方法論の確立DNA-タンパク質複合体の抽出(サンプル調整)が、再現性よく安定して調整できる系を検討した。今後は、このサンプルを元に、deep sequence解析を行う。
2: おおむね順調に進展している
上記実績概要では、進捗状況が芳しくないような印象となるが、いずれもチャレンジングなアプローチであり、このような進捗状況は想定内である。Swi2相互作用因子の検索を、当初、質量分析で行うこととしたが、困難を極めたので、2ハイブリッド法に切り替え、多数の有力候補が得られたところは、特に評価したい点である。
今回得らた多数のSwi2相互作用因子について、実際に接合型変換に関与するかどうか、変異株を作製して解析する。また、3C解析は、これまで予備実験に終始してきたが、今後は実際に解析を進め、結果を見ながらトラプルシューティングをしていく方法、すなわち実践的に解析を進めていく予定である。
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Structure
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