研究領域 | ゲノムアダプテーションのシステム的理解 |
研究課題/領域番号 |
22125006
|
研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
井澤 毅 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (10263443)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ゲノム / 栽培化 / イネ / エピアリル |
研究実績の概要 |
アジアに自生する野生稲は、種子色は赤いが、多くの栽培アジアイネは、種子色は白い。これは、Rc転写因子の欠損変異でタンニン色素が合成できなくなっているからであるが、一部の栽培イネでは、アントシアニン色素貯める黒米品種の存在が知られており、この黒米形質は、イネの栽培化・初期の育種過程で、創出された新しい農業形質と考えられる。 1.遺伝解析から、3つの遺伝子座が黒米化に関与しており、その中で、一番貢献が大きいQTL座であるKala4遺伝子を、高精度マッピングにより、約25kbの範囲に、候補領域を絞り込んだ。その中には、bHLH型の転写因子がコードされており、また、黒米系統でだけ、この遺伝子は果皮で発現している。そのため、この遺伝子がKala4遺伝子であると考えられた。イントロン内の5つのSNPが存在したが、Kala4転写産物量に大きな影響を与えそうな多型は見つからなかった。 2.候補領域の中の第一イントロン内に、LINE型のレトロトランスポゾンの挿入があり、また、そのLINEないに、DNAメチレーションの多型を発見し、黒米形質の候補と考えられた。 3. 世界に分布する各黒米品種の解析から、このメチレーションと黒米形質の相関が強いことが確認できた。また、Kala4遺伝子のエクソン1と相同性のある領域がKala4領域で重複を受けていることを確認した。この重複とDNAメチレーションとの関係を現在解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. Kala4遺伝子の変化が、エピアリルであることを証明する実験が、当初、計画より遅れているので。
2. 今年度のこれまでの結果の検証過程で、高精度マッピングにミスが見つかり、Kala4の黒米形質変化の原因の候補領域が広がってしまい、可能性は低いものの、エピアリルでない候補イントロン内のSNPが存在し、1の実験が、より重要になってきているので。
|
今後の研究の推進方策 |
1.Kala4黒米遺伝子の創出が、エピアリルが起因してるとの仮説を証明するために、形質転換相補実験を第一に優先して進める。
2. これまでに入手した各種黒米系統で、アソシエーション解析を高精度に行い、DNAメチレーションと、Kala4転写の関係を解析する。
3. 黒米と赤米の違いを決めている転写因子Kala4とRcの特異性の違いを決めている機構を解明するために、ChIP-SEQに回す系統を作成する。
|