研究概要 |
本年度は染色体動態解析の一つとしてChIP-seqの系を立ち上げ、酵母を中心として種々のクロマチンタンパクの局在解析を行った。特筆すべき業績としては、コヒーシンローダーであるScc2の局在がセントロメアおよび転写活性の高い遺伝子に普遍的に見られ、このセントロメアに置ける局在がキネトコア構成タンパクに依存していることを示したこと(Current Biology, 2011)、および、染色体の長さによって本質的な複製のメカニズムが異なることを酵母を用いて示したこと(Nature, 2011)があげられる。また、出芽酵母近縁14種に於ける複製開始点の構成変化について進化学的見地から系統的な解析を行うべく、全ての株のMcm4タンパク質にタグを融合しChIP-seq実験を開始した。さらに酵母よりゲノムサイズが大きな生物への拡張を図るため、ヒトを対象としたプロトタイプ解析を実施した。 一方、解析によって得られたタンパク質局在プロファイル同士の比較、および他のゲノム特徴量と並列し比較解析するための情報解析プラットフォームのプロトタイプ版を開発した。このプラットフォームにはWWWを介してアクセスすることができるため、様々な研究者がゲノム情報を俯瞰しながらプロファイル間の相関を研究したりするための基盤が構築されることとなる。本年度はそのプロトタイプとして、まずはスタンドアローン型でのプラットフォーム構築を実現した。
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