研究領域 | ゲノムアダプテーションのシステム的理解 |
研究課題/領域番号 |
22125008
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 武彦 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (90501106)
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研究分担者 |
白髭 克彦 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90273854)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 染色体動態 / ゲノム情報 / 新型シークエンサ |
研究概要 |
本年度も昨年度と同様に、まず今までに開発したChIP-seq解析アルゴリズム、ゲノムアセンブル解析アルゴリズム、点変異解析アルゴリズムの改良を継続的に実施し、班員との共同研究により出芽酵母、分裂酵母、ヒト、病原性バクテリアなど様々な生物種について、様々なタンパク質局在プロファイ ルの解析、SNP検出、ゲノム構造変異解析を実施した。中でも、De bruijnアルゴリズムを用いたゲノムアセンブラプログラムの開発に昨年度に引き続き注力し、その成果を論文投稿し現在revise中である。本研究課題を通じて開発しているアセンブラは、野生種のゲノム等高ヘテロ接合性を持つゲノムの再構築時に生じるグラフ構造中のバブル構造をうまく解決する事でこの問題を回避している。さらにこのアセンブラを用いた解析の応用事例として、出芽酵母diploidゲノムを対象とした組み替え位置の網羅的特定という情報班の成果を主体とした取り組みを引き続き行っている。 さらに今年度の成果として、極めて近縁なバクテリアゲノムの大量シークエンスデータを元にした変異系譜が追えるようなアルゴリズムの開発を進めた事も上げられる。本アルゴリズムは参照配列に対するマッピングにより変異を効果的に同定することで、系統推定に必要となるマルチプルアライメントを回避する事が可能となり大幅に計算速度を上げる事に成功している。また、系統樹の作成においても最尤法等で実現が困難な多分岐等を考慮する事ができるアルゴリズムを実装し、アウトブレイクの原因等の特定等への応用が期待される成果を上げる事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までと同じであるが、最大のミッションである新学術班内において利用可能なIllumina社プラットフォームを利用したシークエンスデータを元にしたChIP情報解析の系、SNPs情報解析の系 、ゲノム構造変化検出の情報解析の系を本年度までに立ち上けた上で改良を施し、新学術のメンバーに広く供与できている事から本新学術内での目的は概ね順調に進展できていると考えられる。 また、これら確立した系を利用した解析を通じて幅広く班員と共同研究が実施できている事からも概ね順調であると考えられる。また、独自に進めていたアセンブラ開発も論文投稿を果たすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今進めている様々な情報系アルゴリズムの開発/改良を引き続き行い、オリジナリティーの高いものに関してなるべく論文化を計り、最終年度としてまとまった成果を上げられるように努力する。同時に様々に展開している班員同士、班外研究者との共同研究に関しても、最終年度である事を十分考慮に入れた上論文等の形で成果をまとめることを最優先にしたい。また、本計画班を中心として展開している出芽酵母diploidゲノムにおける網羅的な組み替え位置の特定研究に関しても、情報班からの技術展開から生み出された研究事例として是非来年度内にまとまった成果を上げられるよう努力を続けて行く予定である。
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