計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本申請研究では、ゲノム領域における突然変異率の直接計測法を開発し、分子進化解析に基づく適応進化関連領域の検出を可能にすることを目指す。また、その有効性を確かめるために、塩基配列決定を伴うゲノム解析を実施する。初めに、本領域において解析されている酵母実験株の次世代シーケンサーによる配列決定データを用いて、既に公開されている酵母ゲノムとの比較解析を行い、重点的に解析すべき領域の選定を進めた。また、並行してそれらの酵母実験株を至適条件下で継代培養するための実験環境を整え、試験的培養を始めている。一方、本研究課題と密接に関連する新規の研究として、札幌において長年流行性角結膜炎(EKC)患者から採取されているヒトアデノウイルス(HAdV)のゲノム解析(配列決定と比較解析)を開始した。HAdV-D群の血清型8,19,37,54の採取時期の異なる計7ゲノム、および、HAdV-E群の血清型4の1ゲノムを新たに配列決定している。これまでの解析の結果、異系統ゲノム間での組換えが特定領域で高頻度に起きていることと、それらの領域がエピトープ関連領域を含んでおり組換えに正の選択がかかっている可能性があることなどが明らかになった。そこで、酵母の場合と同様に、アデノウイルスゲノムの各領域におけるゲノム間組換えの起こりやすさを計測し、EKCの新たな流行とおそらく密接に関連すると考えられる真の正の選択領域を明らかにするための実験を、酵母の実験と並行して進めることとした。他のHAdVサンプルについてもゲノム配列決定を進め、EKC流行の原因解明を目指す。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Journal of General Virology
巻: 92 ページ: 1251-1259
Journal of Clinical Microbiology
巻: 49 ページ: 484-490