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2012 年度 実績報告書

ゲノム配列解析に基づく突然変異発生特性と適応進化の解明

計画研究

研究領域ゲノムアダプテーションのシステム的理解
研究課題/領域番号 22125009
研究機関北海道大学

研究代表者

渡邉 日出海  北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (30322754)

研究分担者 小柳 香奈子  北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20362840)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワード二本鎖DNA切断修復 / 組換え / 突然変異 / 酵母 / ヒトアデノウイルス / 非相同末端結合
研究実績の概要

新たに導入した次世代型パーソナルシーケンサーIon PGMと従来のAB3130xlを用いて、内外の共同研究者から受け取った多数のHAdVおよび酵母のゲノム配列決定を行った。ヒトのみを宿主とするHAdV-D種に加えて、他種HAdVおよびヒト以外を宿主とするAdVゲノム解析も行い、組換えホットスポットの存在を明らかにした。さらに、組換え・突然変異発生特性の普遍性と系統特異性の解析を行い、AdVの適応的進化に関連するゲノム領域を推定するとともに、ゲノム配列解析以外に、ウイルス表面タンパク質の立体構造を高精度で予測し、組換えおよび塩基・アミノ酸置換速度の高い領域がエピトープ領域候補に対応することを明らかにした。また、真核生物ゲノム内にINDELをもたらす原因とそのINDEL発生特性を明らかにすることを目的として、二本鎖DNA切断(DSB)に対して働くHR、NHEJ、MMEJ、SSAの修復機構に着目している。これらの機構によりDSBが再結合される際に、数塩基またはより長いINDELが生じる場合があることが知られている。未解明なそれらの基本発生特性と分子機構を明らかにするために、Ion PGMおよび領域内で導入しているIllumina社のMiSeqを用い、本領域A03の白髭グループが長年ChIP-chip/seq解析対象としきた出芽酵母BY4741株(半数体)およびその遺伝子KO株に対して、G1期に人為的にDSBを導入し、その修復を検出するための方法を開発した。現在、DSBの正確な数とその存在場所を明らかにしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々の身近な感染症である流行性角結膜炎やプール熱などの原因であり、定点観測や国際ネットワークによるウイルス試料の蓄積が進んでいたHAdVのゲノム変化特性を明らかにすることを目指した。そのために、内外の多くの眼科医や感染症研究所等との国際共同研究の形で多数のHAdVゲノムについて多面的に解析を行い、異系統間でゲノム組換えが高頻度で起きていること、また、その組換え領域が特定の領域に偏在していること(ホットスポットの存在)、それらが、ウイルス粒子表面に存在するタンパク質をコードしている遺伝子を多く含んでおり、組換えが自然選択の対象となってきた可能性があることなどを明らかにしてきた。さらに、細胞増殖等の過程で働く自然選択の影響を受ける前の、DSB修復直後のゲノム構造変化を捉えることを目的として、G1期同調半数性酵母細胞への人為的DSB導入後、G1/Sチェックポイントを通過した細胞をG2/M期でarrestし、次世代シーケンサーで配列決定するという方法を考案し、平成24年度にこの方法が有効であることを実証している。また、真核生物のDSB修復系としてHRやNHEJ、SSAの存在が知られていたが、最近になってMMEJも知られるようになり、これらを区別してゲノム変化特性を解析する必要があることがわかってきた。そこで、半数性細胞において姉妹染色分体が存在しないためにHRが抑制されているG1期におけるDSB修復に着目することにより、非HR修復によるゲノム構造変化を明らかにすることとした。この研究を加えることにより、本研究課題は、全体としてのゲノム変化特性の把握ばかりでなく、その背景に存在する個別の分子機構による突然変異発生特性をも解明することが可能となった。 以上のように、ゲノムアダプテーションのより深い理解が進んでいる。

今後の研究の推進方策

平成24年度に独自にゲノム配列決定を行ったBY4741株(白髭グループより譲り受けたもの)を、正確に突然変異を検出のための参照配列として用い、同株に対してin vivoで人為的に導入したDSBの位置と数を正確に明らかにする(DSB発生特性の解明)。そのために、DSB発生箇所を簡便かつ高速に同定するための独自の方法を確立する。次に、それらのDSBが修復され、G1/Sチェックポイントを通過した直後のゲノムを配列決定することにより、修復機構による再結合の際に生じる突然変異を検出する(突然変異発生特性の解明)。NEJ1欠損株、RAD1欠損株、独自作製のダブルノックアウト株なども併用して、真核生物のDSB修復系として知られているHR、NHEJ、MMEJ、SSA各々の特性を区別する。これらの解析の過程で、特にあまり解明されていないMMEJとSSAの分子機構に関する知見が得られれば、適宜、論文として報告する。これらの解析方法の有効性が確認出来場合には、ほ乳類を用いた解析を進める。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Identification of Contamination in the American Type Culture Collection Stock of Human Adenovirus Type 8 by Whole-Genome Sequencing2013

    • 著者名/発表者名
      Shotaro Yamane
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 87 ページ: 1285-1286

    • DOI

      10.1128/JVI.02875-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evolutionary force of AT-rich repeats to trap genomic and episomal DNAs into the rice genome: lessons from endogenous pararetrovirus2012

    • 著者名/発表者名
      Ruifang Liu
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: 72 ページ: 817-828

    • DOI

      10.1111/tpj.12002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparative Genome Analysis of Three Eukaryotic Parasites with Differing Abilities To Transform Leukocytes Reveals Key Mediators of Theileria-Induced Leukocyte Transformation2012

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Hayashida
    • 雑誌名

      mBio

      巻: 3 ページ: e00204-e00212

    • DOI

      10.1128/mBio.00204-12

    • 査読あり
  • [学会発表] Adenoviral Typing Protocol Based On Highly Conserved Regions Flanking Capsid Epitopes2012

    • 著者名/発表者名
      Gabriel Gonzalez
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2012-11-13 – 2012-11-15
  • [学会発表] ゲノム比較解析を用いたアデノウイルスの型同定と進化特性解析について2012

    • 著者名/発表者名
      渡邉日出海
    • 学会等名
      第13回日本アデノウイルス研究会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2012-11-13 – 2012-11-13
    • 招待講演
  • [学会発表] Performance Degradation in Molecular Divergence Time Estimation with Increase in Calibrations with Asymmetric Large Uncertainty2012

    • 著者名/発表者名
      Hidemi Watanabe
    • 学会等名
      International Symposium on Evolutionary Genomics
    • 発表場所
      National Sun Yat-sen University (台湾)
    • 年月日
      2012-10-19 – 2012-10-21
    • 招待講演
  • [学会発表] Identification of Recombination Hotspots on Human Adenovirus Species D Genomes2012

    • 著者名/発表者名
      Gabriel Gonzalez
    • 学会等名
      10th International Adenovirus Meeting
    • 発表場所
      Umea University (Sweden)
    • 年月日
      2012-06-13 – 2012-06-17
  • [学会発表] Identification of a non-type 8 coinfection in ATCC stock of human adenovirus type 8 (HAdV-8) by partial genome sequencing-Search for recombinants in the ATCC HAdV-8 stock2012

    • 著者名/発表者名
      Shotaro Yamane
    • 学会等名
      10th International Adenovirus Meeting
    • 発表場所
      Umea University (Sweden)
    • 年月日
      2012-06-13 – 2012-06-17
  • [学会発表] Introduction of a new HAdV-8 variant, that caused epidemic keratoconjunctivitis (EKC) in Hungary2012

    • 著者名/発表者名
      Laura Panto
    • 学会等名
      10th International Adenovirus Meeting
    • 発表場所
      Umea University (Sweden)
    • 年月日
      2012-06-13 – 2012-06-17
  • [学会発表] Classification of Human Adenovirus Types by an Alternative Method2012

    • 著者名/発表者名
      Gabriel Gonzalez
    • 学会等名
      10th International Adenovirus Meeting
    • 発表場所
      Umea University (Sweden)
    • 年月日
      2012-06-13 – 2012-06-17

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公開日: 2018-02-02  

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