計画研究
本研究では、ゲノム内適応進化関連領域の検出を目的として、ヒトアデノウイルス(HAdV)および出芽酵母半数体のゲノムにおける、再編成・挿入欠失を含む突然変異発生解析を行ってきた。また、ヒト1000人ゲノムプロジェクトが第3期を完了し、2014年10月に26集団2504個体に関する高精度の対立遺伝子頻度データを公開したため、上記解析と並行して、ヒトゲノムにおける突然変異発生解析も進めることとした。HAdVゲノム解析においては、当該年度において、日本では初となる48型近縁ヒトアデノウイルスを発見し、これまでに類のない複雑な組換え体であるということを明らかにした。また、新規開発手法により、異なるゲノム領域間共進化の存在等を見出すことに成功した。共進化領域に存在する遺伝子については、その産物間で物理的相互作用が多数確認されたため、共進化は遺伝子産物間相互作用を通した負の自然選択の結果であると結論づけた。また、高頻度で組換えられている共進化領域には、その産物が宿主タンパク質と相互作用する遺伝子が多いことから、組換えが正の自然選択の結果であると推定した。この異ゲノム領域間共進化解析法は、多くの生物に応用可能な新たな遺伝子機能予測法である。半数性出芽酵母については、非相同組換え機構(NHEJなど)による修復を通した突然変異の導入を行い、ゲノム配列決定を行うことで、ゲノム中の突然変異発生特性を明らかにした。この結果は、自然選択がかかった細胞での突然変異と比較することにより、自然選択のかかり方を明らかにする重要な基礎データとなる。また、1000人ゲノムプロジェクトの高精度データを用い、新たな突然変異を選別することにより、実際のヒト集団内で生じている突然変異を明らかにした。その結果、ヒトゲノムの異なる領域や染色体間で突然変異発生頻度が大きく異なるということを発見した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件)
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