研究実績の概要 |
1,新規ショウジョウバエの摂食調節ホルモンCCHamide-2によるインシュリン様ペプチドの制御 CCHamide-2(CCHa2)は、私たちの研究グループがショウジョウバエから発見し、すでに報告済みの13アミノ酸から成る生理活性ペプチドであり(Ida et al.,Front Endocrinol (Lausanne),2012)、幼虫の脂肪体や腸で発現する。今年度はこのCCHa2の機能を調べた。 CCHa2の受容体であるGタンパク質共役型受容体CCHa2受容体は、脳で発現し、特にインシュリンを分泌する神経内分泌細胞で強い発現が観察された。カルシウムイメージングおよびインシュリン産生細胞特異的なCCHa2Rの阻害により、CCHa2はインシュリン産生細胞を直接活性化した。CCHa2およびCCHa2受容体の機能欠失型変異体を作製したところ、幼虫の成長阻害および、発生の進行の遅れが見られた。これらの変異体では、インシュリン様ペプチドをコードするDilp2やDilp5の産生が阻害されていた。したがって、CCHa2シグナル系の生理学的意義は、個体の成長を栄養条件と協調的に制御することであると考えられる。
2、NF-κBおよびNkx2.2によるグレリンのプロモーター活性の制御 われわれは、グレリンプロモーター領域候補をルシフェラーゼ発現ベクターに組み込んだレポーターベクターを作製し、そのルシフェラーゼ活性を測定することによりグレリンの発現を制御する転写因子について解析した。その結果、グレリンプロモーター領域-1600 bp付近まで欠失させるとルシフェラーゼ活性が低下し、この領域がグレリンの転写活性に重要であることが示唆された。そこでバイオインフォマティクス解析を行い、この領域に結合する転写因子としてNF-κBおよび Nkx2.2 を同定した。さらにNF-κBおよびNkx2.2過剰発現させた細胞でルシフェラーゼ活性を測定することによりグレリンの転写活性がNF-κBおよびNkx2.2によって抑制または促進されることが示唆された。
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