計画研究
摂食行動の発現・調節機構を理解するためには、摂食に関わる神経回路網を明らかにするだけでなく、生体のエネルギーレベルを脳がどのように感受し、その情報を神経活動および摂食行動にどう変換するかを解明する必要がある。本研究課題において、申請者は、マウス室傍核ニューロンに活性型AMPKを発現させると炭水化物食への嗜好性が亢進して過食となり、肥満することを見出した。また、マウスを絶食することによってこれと同様な変化が引き起こされることを見出した。さらに、昨年度は、これらの作用が室傍核CRHニューロンを介することを見出した。そこで本年度は、室傍核ニューロンのAMPKが食物嗜好性を調節する機構を分子レベルで明らかにすることを目的に、CRHニューロンのAMPK活性が神経活動にどのような調節作用を営むかを明らかにするため、室傍核から単離したCRHニューロンにAMPK活性化剤であるAICARを作用させ、細胞質内Caイオン濃度の変化への影響を調べた。その結果、約60%のCRHニューロンにおいてAICARにより細胞質内Caイオン濃度が上昇した。またその作用は脂肪酸酸化阻害剤etomoxirによって抑制された。そこで次に、etomoxirの標的であるcarnitine palmitoyltransferase 1c (CPT1c)に対するshRNAを、レンチウイルスを用いて室傍核に発現させ、食物選択行動と細胞質内カルシウム濃度への効果を調べた。その結果、このマウスでは絶食後の再摂食における炭水化物食の選択行動が有意に減少した。またAICARで刺激した時のCRHニューロンでの細胞質内Caイオン濃度上昇が消失した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 8件) 備考 (1件)
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